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血路
「血路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
血路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
そうすれば何も妻を殺したのが、特に自分の罪悪だとは云われない筈だ。」と云う一条の
血路がございました。所がある日、もう季節が真夏から残暑へ振り変って、学校が始まっ....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
た。
保吉は絶体絶命《ぜったいぜつめい》になった。この場合|唯一《ゆいいつ》の
血路《けつろ》になるものは生徒の質問に応ずることだった。それでもまだ時間が余れば....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
しまったと信じ込んでいた京吉が、執拗に迫る嫉妬からのがれるためにきりひらく唯一の
血路であり、また、失われたものをなつかしむ気持の逆説的なあらわれであったが、しか....
「世相」より 著者:織田作之助
ったれた安パジャマに過ぎないぞ。そう思うことによって、私は静子の肉体への嫉妬から
血路を開こうとした。お定を描《か》こうと思った。 二十四歳の私がお定を描《か》....
「蠅男」より 著者:海野十三
圧しつけているのであった。これでは身動きさえできない。 (参った。――しかしまだ
血路の一つや二つはありそうなものだが!) 帆村は全身の血を脳髄のなかに送って、....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
て最後に退いたが、甲軍の追撃猛烈のため犀川に退却するのが困難になったので、東方に
血路を開き三牧畠の瀬を渡って退いたといわれる。越軍の大部分は陣馬ヶ原で返撃し、丹....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
で、容易に火が挙らない。やっと火の付いたのが、九時四十分頃であった。命令一下各自
血路を開いて退却千本桜に集合出来たので、乃木少佐が隊列を検閲すると、肝心の河原林....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
の推論は……。これをたしかめるには、ミミ族の一人を捕らえて解剖してみるしかない。
血路は一つ 山岸中尉は、帆村の説に半信半疑であったが、しかしさしあたり帆村の説....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
そういうと、川上機関大尉はペンキの入った缶をぶら下げて、外へ出ていってしまった。
血路 ペンキ工の機関大尉は、暗がりの中をとことこと歩いていった。 あたりの様....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
な定義にあまりこだわらない方であるが、この際は原稿大難航の折柄のこととて、一方の
血路を切り開いて兎も角も乗り切ることが第一義であった。一応その定義に服従して、結....
「海亀」より 著者:岡本綺堂
げこんだ。ただ投げ込むばかりでなく、それを礫にして大きい奴にたたきつけて、一方の
血路をひらこうと考えたのだ。それは相当に成功したらしいが、何をいうにも敵は大勢だ....
「入れ札」より 著者:菊池寛
を避けていたが、其処も防ぎきれなくなると、忠次を初、十四五人の乾児は、辛く一方の
血路を、斫り開いて、信州路へ落ちて行った。 夜中に利根川を渡った。渋川の橋は、....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
叫ぶ声が甲から乙へと伝えられた。重太郎は哀れや逃場を失った。それでも彼は猶一方の
血路を求めて、唯ある人家の屋根へ攀登った。茅葺、板葺、瓦葺の嫌いなく、隣から隣へ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
の記憶を助けたのでした。 試験地獄に直面して、そこに自分の小さいながらも人生の
血路を切り開いて行った健気な態度、自分の繊弱い性質をどうにかして支持して行った苦....
「雨」より 著者:織田作之助
、女の生理の脆さへの同情が湧いて来た。そして、それが、妓への嫉妬から脱れる唯一の
血路だと思うのだった。しかし、安二郎に同情を感ずる時の彼は妓の肉体に対するいまわ....