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行き所
「行き所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行き所の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
ない。だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた下人が、
行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。その上、今日の空模様も....
「八十八夜」より 著者:太宰治
き切りたいような、グヮンと一発ピストル口の中にぶち込みたいような、どこへも持って
行き所の無い、たすからぬ気持であった。あのひと、いるかしら。あのひと、いるかしら....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
」 老人はいながら、顔の向を後《うしろ》へ変える。捩《ねじ》れた頸《くび》に、
行き所を失った肉が、三筋ほど括《くび》られて肩の方へ競《せ》り出して来る。 茶....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
へ吸いついている辺《あたり》から、かあんかあんと云う音が出た。洞の四面へ響いて、
行き所のない苦しまぎれに、水に跳《は》ね返ったものが、纏《まと》まって穴の口から....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
る、併し此の時は乱暴とは思わぬ、秀子の後を追い塔の底へ降る外には、広い世界に余に
行き所はない様な気に成って了った、降って行って、間に合うやら合わぬやら、其の様な....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
母さんは物堅い御気性だから、屹度置かないと仰しゃるだろうが、此のお方も、何処へも
行き所のないお方で、後生だから何日までも宅に居られるようにしておくれな」 清「む....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
ざいますが、若気の過り、此の源さまと馴染めた所から、源さまは御勘当になりまして、
行き所のないようにしたは皆な私ゆえと思い、悪いこととは知りながらお屋敷を逃出し、....
「天馬」より 著者:金史良
の僕に寺へ行けと命じているではないか。もう大村にまで見捨てられたからにはどこへも
行き所のない人間なのだ。彼は使うだけ使って今になり事新しく自分にお寺へ行けと命ず....
「雷」より 著者:海野十三
は嬉しいのだがと、四郎は誠実を面に現わして説明した。 この思いがけない申出に、
行き所に悩んでいた英三夫妻は内心躍りあがらんばかりに喜んだがともかくその場は明答....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ることができるからであり、また、不思議にもジャヴェルの手をのがれたあの晩のように
行き所に困ることがないからであった。その二つの居室は、ごく小さなみすぼらしい住居....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
妻「はアイー」 かめ「誠に不思議な御縁で、此の度は此方の旦那様に助けられまして、
行き所もない身の上で、可愛そうだと仰しゃってお連れ下さいましたものでございます、....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
が、孫兵衛の肱を平手で打った。 「くそうッ」 勢いよくふり下ろしたが、切ッ尖の
行き所は見事に狂っていた。あっ――と二の太刀、飛び退いて持ちなおそうとしたが、そ....