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行き暮れ
「行き暮れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行き暮れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
ど》と見られて取り囲まれ、主従ここで討死をした、姫は父を失い、母にはぐれ、山路に
行き暮れて、悩んでいるのを、通りがかりの杣人《そまびと》が案内を承ると佯《いつ》....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
た。が、一旦、仇討を志した者が、敵を討たないで、おめおめと帰れるわけはなかった。
行き暮れて辻堂に寝たときとか、汚い宿に幾日も降り籠められていたときなどには、彼は....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
うにあるだろうがね」 陽気で、早口で、どこをみても、お払い箱早々というような、
行き暮れたところがない。顔も、駄々っ子駄々っ子してダグラスそっくり。声まで彼に似....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
せんでした。Aはこう思いました。「この茫々とした立山の雪原であるいは自分の一生も
行き暮れてしまうかも知れない。けれど正しいと思う方向へ向って歩いておれば、倒れた....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
、さようでございます」 老人は恭しく辞儀をした。 「で、何んぞ用事かな?」 「
行き暮れました旅の者、近頃|不躾のお願いながら、一夜の宿をご無心したく……」 「....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ているだけのことでござりまするよ」 「異な事を申すよ喃。二本差す者とても旅に出て
行き暮れたならば宿をとらねばならぬ。武家を泊めなば何が面倒なのじゃ。それが昔から....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
いか、このように申してそちひとりがきゃつの屋敷に乗り込んで参れよ。わたくし、旅に
行き暮れて道に踏み迷い、難渋致しておる者でござります。ぶしつけなお願いでござりま....
「軽井沢」より 著者:寺田寅彦
て、それが樹冠にへばりついてその重量でへし折られたそうである。こういう雪の山路に
行き暮れて満山の雪折れの音を聞くということは、想像するだけでも寒いようである。 ....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、徳本の小舎まで来た、飛騨から牛を牽いて、信州へ山越しにゆく牧場稼ぎの人たちが、
行き暮れて泊まるところだ。小舎の前の森を突き抜けて、梓川の本谷が屈曲して、また浅....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《あまね》く道行の人に施さんとする有志の功徳の親切なることを、世にも有難く思い、
行き暮れた旅人が、これによって、どのくらい救われたかの記念を、さまざまの壁書に見....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ございます」 こう言って見咎《みとが》めたのは無理もないと、兵馬も思いました。
行き暮れて、こんなところに、ただ一人、物案じ顔に休んでいるのを、通りかかった者が....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
《じょうらん》と暗黒の巷《ちまた》で、一歩そこへ足を踏み入れたが最後、混迷の中に
行き暮れてしまわなければならぬ……』
庵室には新発意《しんぼち》のポルフィーリ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
話がある。例えば船虫の一生の如き、単なる一挿話とするには惜しい話材である。初めは
行き暮れた旅人を泊らしては路銀を窃む悪猟師の女房、次には※いびりの猫化郷士の妻、....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
でもするような、ひそひそ声と忍び笑いでもあったし、かと思うとまた湖の妖精たちが、
行き暮れた旅人か何かをなぶり物にしているみたいな、甲だかい陽気な笑いごえでもあっ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
居りますが杜鵑は月の出たのを悦びてか幽邃なる谷の間より美しい声を放って居ります。
行き暮れて月に宿らむ雪山の淋しき空に杜鵑啼く
やがてキミイ(福泉)という雪山の....