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行き逢う
「行き逢う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行き逢うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ア、秋」より 著者:太宰治
惨と情慾とはうらはらのものらしい。息がとまるほどに、苦しかった。枯野のコスモスに
行き逢うと、私は、それと同じ痛苦を感じます。秋の朝顔も、コスモスと同じくらいに私....
「火の鳥」より 著者:太宰治
とは、それをちっとも恩に着ない。これは、はじめからこうなんだと、のんきに平気で、
行き逢う人、
行き逢う人にのんびり挨拶をかえしながら澄まして歩いていると、まあ、男....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
った。彼は扇を膝に突き立てて、弟子の顔を睨むように見つめた。 「お身は途中で誰に
行き逢うた」 千枝太郎はぎょっとした。しかも何事にも見透しの眼を持っている、神....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
んでいるばかりでなく、毎日電車の中で乗り合せる普通の女だの、または散歩の道すがら
行き逢う実際の男だのを見てさえ、ことごとく尋常以上に奇《き》なあるものを、マント....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
を一時にとめるべき声を起す。退く浪と寄する浪の間にウィリアムとシーワルドがはたと
行き逢う。「生きておるか」とシーワルドが剣で招けば、「死ぬところじゃ」とウィリア....
「新生」より 著者:島崎藤村
たれさ》げて歩く婦人の多くなったことを取りたてて言うまでもなく、二人はそれを町で
行き逢ういかなる人の姿にも読むことが出来た。汚《よご》れた顔の子供にも、荷馬車に....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
た時のことを話そう。 君は地方にある小さい都会へ旅したことが有るだろう。そこで
行き逢う人々の多くは ――近在から買物に来た男女だとか、旅人だとかで――案外町の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
遇したり、嘲笑したりする人なんぞは一人もあるのではないが、平治が船の中を歩くと、
行き逢うほどの人が、その長い刀を見て変な目つきをする。それが八分の冷笑を含んでい....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
?……自ら尋ねてみて私は駭然としたのである。 市内を彷徨してるうちに、私の眼は
行き逢うあらゆる女に向けられていた。而もそういう私の眼は単なる路傍の人を見る眼と....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
の部屋に帰ってから、彼は彼女のことを考えて、明日もきっとあの女はひょっくり自分と
行き逢うにちがいないと思った。そう来なければ嘘だ。寝床にはいる段になって彼はふと....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
枝をゆるがせて、家の宝の一枚は水の底に沈められてしまった。 「実はさっき水野殿に
行き逢うたら、腰元の菊はまだ無事に勤めているかと訊ねられたぞ」 「左様でござりま....
「明暗」より 著者:岡本かの子
眼はその病症が緑内障であるせいか眼鏡の下に一寸見には生き生きと開いた眼に見えた。
行き逢う人達の何人が、三木雄を盲青年と見たであろうか、 「あなたね。行き合う人が....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
はどうじゃ。死物狂いの逆寄せなどをたくむような気ぶりはなかったかな。いや、奥方に
行き逢うたばかりでは、それも判るまい。塩冶が日頃の気性から察すると、しょせんは見....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
ゆく。それはいずこも松の並木の聳えている砂道で、下肥《しもごえ》を運ぶ農家の車に
行き逢う外《ほか》、殆ど人に出会うことはない。洋服をきたインテリ然たる人物に行逢....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
た梅もどきの枝に尾を動かしている鶲は、私の近寄るのも知らぬげに寒さに顫えている。
行き逢う駄馬が鬣を振わして雨の滴を顔のあたりへ飛ばせて来ることもある。蕭条たる気....