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行く末
「行く末〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行く末の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
顔の下には、もう足の早い蟻《あり》がついた。――
太郎は、まのあたりに、自分の
行く末を見せつけられたような心もちがした。そうして、思わず下くちびるを堅くかんだ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
鶴を見守ったまま、いろいろのことを考えていた。この一家の人々の心もちや彼女自身の
行く末などを。………
三
或雪の晴れ上った午後、二十四五の女が一人、か細い....
「或る女」より 著者:有島武郎
も思えた。それともあすの船出の不吉を告げる何かの業《わざ》かもしれない。木村との
行く末の破滅を知らせる悪い辻占《つじうら》かもしれない。またそう思うと葉子は襟元....
「或る女」より 著者:有島武郎
く震えていた。
生まれかわらなければ回復しようのないような自分の越し方《かた》
行く末が絶望的にはっきりと葉子の心を寒く引き締めていた。
それでも三人が十六畳....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
う》を振ってもそれだけしかない金を、そう安っぽく扱うような料簡《りょうけん》では
行く末が思いやられる。夜が明けたならば宿の亭主とも相談して、あの千両を宿にあずけ....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
大事でござんすぞ」 お園はいつも弟のような六三郎に意見していた。二人の間にもう
行く末の約束が固く取り結ばれていたのであった。しかし艶《はで》な浮名を好まない質....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
はじっと噛み殺して、しばらく黙っていた。勿論、二人のあいだに表向きの約束はない。
行く末はどうするということを、藻の口からあらわに言い出したこともない。父の行綱も....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
思議な姿を描き出す。この老人の老い先をどんな運命が待っているのだろう。この処女の
行く末をどんな運命が待っているのだろう。未来はすべて暗い。そこではどんな事でも起....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
げさしてやりたい。こうしてお前を泣かせるのも決して親自身のためでなくみんなお前の
行く末思うての事だ。えいか、親の考えだから必ずえいとは限らんが、親は年をとってい....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
になったことだった。彼に行かれては、漢青年は浮木にひとしかった。非常に心配して、
行く末をいろいろと思い煩っているところへ、孫火庭がヒョックリ帰ってきた。帰るには....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
果たすほどのしっかりした覚悟をもっていない彼等は、時の過ぎゆくに従って自分たちの
行く末を考えなければならなかった。百日の期限が過ぎて仇のゆくえが知れない暁には、....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
て死ぬ。手前もまたこの笛のために、かような身の上と相成りました。それを思えば身の
行く末もおそろしく、いっそこの笛を売放すか、折って捨てるか、二つに一つと覚悟した....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
わって故郷の埼玉県へ帰ってしまった。声変わりのした鴬――ゆく春と共に衰えゆく身の
行く末を、雛吉はおそらく想像するに堪えなかったのであろうと、日頃の気性を知ってい....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
た。親たちもまたこんな山奥に一生を送らせるよりも、京鎌倉へ出してやった方が当人の
行く末のためでもあろう。たとい氏素姓のない者でも、修業次第であっぱれな名僧智識に....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
詞をあらためて、かれを敬うように言った。「しかし、われらの見るところでは、お身の
行く末は所詮われわれの及ぶところではない。お身は神じゃ、われわれの尊崇する魔神の....