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行倒れ
「行倒れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行倒れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
ふるさとでは美しい女さえ溶けてしまうのです。吹雪《ふぶき》の夜に、わがやの門口に
行倒れていた唇の赤い娘を助けて、きれいな上に、無口で働きものゆえ一緒に世帯《しょ....
「竹青」より 著者:太宰治
て農夫に叮嚀にお辞儀をして、「お恥かしい話ですが、」と前置きをしてこの廟の廊下に
行倒れるにいたった事情を正直に打明け、重ねて、「すみませんでした。」とお詫びを言....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
あ。」 「何の事はありません。」 鉄枴ヶ峰では分るまい…… 「身延山の石段で、
行倒れになったようなんです。口も利けない始末ですがね、場所はどこです、どこにあり....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
う風情に、都振なる雪女郎の姿が、寒くば絹綿を、と柳に囁き、冷い梅の莟はもとより、
行倒れた片輪車、掃溜の破筵までも、肌すく白い袖で抱いたのである。が、由来|宿業と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
い》な子であったわいな」 「面《かお》つきは、そんなでございましたか知ら。何しろ
行倒れのような姿でございましたから、見る影はありませんでした」 「姿はやつれてい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いる者の、仔細な観察を続けようとします。だが、まず以て安心なことには、この怪しい
行倒れが、斬られて横たわっているのではなく、酔倒れて、身動きもならないほどになっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《なが》の年月たずぬる間には路用も尽きて、どうなるか知れぬ運命、わたしとしては、
行倒れに倒れ死んでも、夫への義理は立ちます、いや、たとえ本望は遂げずとも、死んで....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
も足りないで飢《かつ》え死ぬ人が多くありまして、わしらが見ても、街道筋にゴロゴロ
行倒れが毎日のように倒れました。わしの大先生《おおせんせい》は心がけのいい人です....
「薬」より 著者:井上紅梅
貪る人が靴の底で踏み固めたものであるが、自然の区切りとなり、道を境に左は死刑人と
行倒れの人を埋め、右は貧乏人の塚を集め、両方ともそれからそれへと段々に土を盛り上....
「「峠」という字」より 著者:中里介山
》りというものは無いのである、されば旅を旅するだけの人生は倦怠と疲労と困憊と結句
行倒れの外何物もあるまいではないか、「峠」というものがあって、そこに回顧があり、....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
|追腹も気乗がせず、諸国を医者に化けて廻っているうちに、相模の三増峠の頂上に於て
行倒れの老人に出会した。 薬を与えたので一時は蘇生したが、とてもこの先何日も保....
「山吹」より 著者:泉鏡花
て享けましょう。――この人は、死んだ鯉の醜い死骸を拾いました。……私は弱い身体の
行倒れになった肉を、この人に拾われたいと存じます。 画家 (あるいは頷き、また打....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
がお花主の方に深いのが一人出来て、雨の夜、雪の夜もじゃ。とどの詰りがの、床の山で
行倒れ、そのまんまずッと引取られたいより他に、何の望もなくなったというものかい。....
「頸の上のアンナ」より 著者:神西清
借金の穴埋めに売り払われていた。少年たちは父親を決して一人では外出させなかった。
行倒れにならぬようにと、彼等はいつも父親の後をついて廻った。そして、馬丁が飛ぶよ....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
事であった。盗賊の番、火の番、野番、山番などを始めとして、押売強請者の追っ払い、
行倒れの取片付け、行路病者の保護、
行倒れ人の跡始末という風に、およそ今の警察官の....