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行抜け
「行抜け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行抜けの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
樹の茂った坂がある。……私が覚えてからも、むかし道中の茶屋|旅籠のような、中庭を
行抜けに、土間へ腰を掛けさせる天麩羅茶漬の店があった。――その坂を下りかかる片側....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
法廷の高く高き処へ夫人を引立てて来たようである。 扉を開放した室の、患者無しに
行抜けの空は、右も左も、折から真白な月夜で、月の表には富士の白妙、裏は紫、海ある....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
貫く長い廊下を、今しがた来た花畑添いの外廊下づたいに、一直線に引返して、向う側に
行抜けると、監獄の入口かと思われる物々しい、鉄張りの扉に行き当った……と思ううち....
「S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
は決して困難じゃありませぬ。松の間のゴロ石の上を比較的広い隙間がズウット向うまで
行抜けております。この黒眼鏡をかけて御覧なさい。これは僕が眼鏡屋に命じて作らせた....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
て下さい。」 やがて停車場へ出ながら視ると、旅店の裏がすぐ水田で、隣との地境、
行抜けの処に、花壇があって、牡丹が咲いた。竹の垣も結わないが、遊んでいた小児たち....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
「それを左へ開けさっせえまし、入口の板敷から二ツ目のが、男が立って遣るのでがす。
行抜けに北の縁側へも出られますで、お前様帰りがけに取違えてはなんねえだよ。 二....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
く、田圃道でも通る思いで、江東橋の停留所に着く。 空いた電車が五台ばかり、燕が
行抜けそうにがらんとしていた。 乗るわ、降りるわ、混合う人数の崩るるごとき火水....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ず。 ちとやそっとの、ぶんぶんなら、夜具の襟を被っても、成るべくは、蛍、萱草、
行抜けに見たい了簡。それには持って来いの診察室。装飾の整ったものではないが、張詰....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
居に褄も飜さず、裾が浮いて、これもするりと、あとは御存じの、あの奥深い、裏口まで
行抜けの、一条の長い土間が、門形角形に、縦に真暗な穴で。」 と言った、この辺家....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
寂寞して、ただ一つ朗かな蚯蚓の声が月でも聞くと思うのか、鳴いている。 この裏を
行抜けの正面、霧の綾も遮らず目の届く処に角が立った青いものの散ったのは、一軒飛離....
「山の人生」より 著者:柳田国男
分だけ其場に止宿したと記している。紀州熊野でも山中に小屋を掛ける人たち、谷の奥が
行抜けになって向う側へ越えうる場所はこれを避け、奥の切立って行詰まりになった地形....