行路病者[語句情報] »
行路病者
「行路病者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行路病者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
。押されてしまったら、それなりけり。義務の在る数人を世話するどころか、私自身さえ
行路病者だ。事態は、緊迫しています。もはや、かの肥満、醜貌《しゅうぼう》の大バル....
「いのちの初夜」より 著者:北条民雄
も着物を脱いだのであろうと考え出すと、この看護婦たちの眼にも、もう自分はそれらの
行路病者と同一の姿で映っているに違いないと思われて来て、怒りと悲しみが一度に頭に....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
行ぐ? 家へ帰るにゃ金はなし、とどのつまりはカムサツカ行きか、土方部屋のタコよ。
行路病者になって帰る奴もある。渡りあるきの労働者っていうやつアなんによらず困りも....
「赤外線男」より 著者:海野十三
何時まで経っても引取人が現れない。告知板に掲示をしてある外、午後一時のラジオで「
行路病者」の仲間に入れて放送もしたのであるが、更に引取人の現れる模様がなかった。....
「加護」より 著者:宮本百合子
くなり、お幾は、口も利けなかった。 部屋には、偶然通り合わせて、人だかりのした
行路病者が、お恵さんであるのを見つけたという、矢張り、同じ信心仲間の年寄がいた。....
「生きるための協力者」より 著者:宮本百合子
の一人の看護婦である彼女を、人生のいろいろの場面に立ちあわせることになりました。
行路病者として運びこまれた乞食の臨終に立ちあった彼女は、その優れた資質によってイ....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
、脳貧血はところ嫌わず起るものだから厄介だ、私はこの脳貧血のために今までに二度|
行路病者となって行き倒れたことがある。一度は東京の目白のある田舎道で夜の八時過ぎ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の場合は、重ねていうが、ビルジングの中心にぶつかった。 また、それでなければ、
行路病者のごとく、こんな壁際に踞みもしまい。……動悸に波を打たし、ぐたりと手をつ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
持がしなかったのだ。無籍者にしろ、放浪者にしろ、ルンペン小僧にしろ、持込場のない
行路病者にしてみたところが、当人の身性《みじょう》に不明なところがあって、果して....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
たげにふるえた。まだ四十そこそことみえる行商風の旅慣れた恰好からいつても、たゞの
行路病者でなく、なにか急病の発作としか思えなかつた。 「どこが悪いんだ、え、物が....
「虹の橋」より 著者:久生十蘭
心配していたようなことはなにも起らず、真山あさひと須田栄太郎は、身元不明のまま、
行路病者として洲本市役所にひきつがれて、千草の無縁墓地に埋葬され、それで、観光地....
「肌色の月」より 著者:久生十蘭
りまわされるのが嫌なら、そういう湖でやるほうがいい。万一、死体が浮きあがっても、
行路病者の扱いで土地の市役所の埋葬課の手で無縁墓地に埋められるのなら、我慢できな....
「長吏名称考」より 著者:喜田貞吉
職を得て村役人となり、非人等を取締る傍ら、村内の警固に任じ、犯罪人追捕及び処刑、
行路病者の保護、行倒人の始末、穢物の取片附け等に従事したのであったから、彼らは自....
「ラスキンの言葉」より 著者:小川未明
もう昔となった。その頃、雑司ヶ谷の墓地を散歩した時分に、歩みを
行路病者の墓の前にとゞめて、瞑想したのである。名も知れない人の小さな墓標が、夏草....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
番、火の番、野番、山番などを始めとして、押売強請者の追っ払い、行倒れの取片付け、
行路病者の保護、行倒れ人の跡始末という風に、およそ今の警察官の行うところを行った....