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「行雲流水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

行雲流水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みちのく」より 著者:岡本かの子
ったかも知れない。しかし少年の一点の僻《ひが》みも屈託《くったく》もない顔つきと行雲流水のような行動とは人々の心に何か気分を転換《てんかん》させ、生活に張気を起....
現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
えず一種の形式を取るのを指したつもりなのです。もう一口説明しますと、西洋の開化は行雲流水のごとく自然に働いているが、御維新後外国と交渉をつけた以後の日本の開化は....
中味と形式」より 著者:夏目漱石
声を譜の中に押込めて、声自身がいかに自由に発現しても、その型に背《そむ》かないで行雲流水と同じく極《きわ》めて自然に流れると一般に、我々も一種の型を社会に与えて....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
と見える。「何とかいてあったんです」「なあに二三行ばかりですがね。苦沙弥君の文は行雲流水《こううんりゅうすい》のごとしとありましたよ」細君は少しにこにこして「そ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
するころは、もう何年も前に人が行くだけ行ってしまっている。ハアハア笑って、又忽ち行雲流水的風懐になりました。芝のおじいさんのところのことなんかで、私はよけい注意....
風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
時まったく超然|居士で、怒らぬこと、悲しまぬこと、憎まぬこと、喜ばぬこと、つまり行雲流水の如く生きようという心掛であるからビクともしない。尤も私に怒ると転居され....
行雲流水」より 著者:坂口安吾
よ」 と、弟に留守中のお金を渡して、そのまゝどこかへ消えてしまった。 仏家に行雲流水という言葉があるが、ソノ子の如きは、まさしく雲水の境地を体得したものだろ....
生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
ような生活になれば、それでいいのだということを申しましたが、一枚の生活というと「行雲流水」雲水、雲や水のように私がなったわけであります。雲水というものは、雲水の....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
、旅と感じて行路難が犇々と胸に浸みるのであった。 奈良井まで来た時友とも別れ、行雲流水一人旅となった。木の根へつく然と腰を掛け、主水は茫然と首垂れた。 畑を....
郷介法師」より 著者:国枝史郎
? 誰に貸したのか?」 「堺の魚屋利右衛門へな」 「それではこれでお別れか」 「行雲流水、どれ行こうか」 そこで二人は別れたのである。 関白秀吉を恐れさせ一....
『鉢の子』から『其中庵』まで」より 著者:種田山頭火
ものではない。なるようになれではいけないが、なるようにしかならない世の中である。行雲流水の身の上だ、私は雲のように物事にこだわらないで、流れに随って行動しなけれ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
た当人は、悪執拗い努力や作為は一つもなく、ただ力が入っている。力が入っていながら行雲流水のような自由で自然の態度を備えている。これは、まあ私たち凡人にとっては理....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
で眺めていた。 二人が、白鷺城を出たのは、翌る日であった。 沢庵も、これから行雲流水の旅に向い、当分はお別れとなろうというし、武蔵もまた、きょうを第一歩とし....
私本太平記」より 著者:吉川英治
かも、ゆゆしき御秘命を持たれるのに、この先、何となされますか」 「なんともせぬ。行雲流水」 「はて。ここだけは、蝶もうららな道ではございますが」 菊王としては....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
や俳人の遍歴は、人間を避けて自然のふところを慕っているのであるが、武蔵のそれは、行雲流水の裡に身をおいても、いつもその視界は人間の中にあった。人間が常に解決しよ....