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術中
「術中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
術中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
やに渡そうとする段になると、葉子には思いもかけぬ躊躇《ちゅうちょ》が来た。もし手
術中にはしたない囈言《うわごと》でもいってそれを愛子に聞かれたら。あの冷刻《れい....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
ずしも完全に表わし得ないとすれば、「いき」の芸術形式と同一のものをたとえ西洋の芸
術中に見出す場合があったとしても、それを直ちに体験としての「いき」の客観的表現と....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
まんがため、眼科出の杏丸に命じて、幹枝の左眼に義眼手術を施せり。しかして、その手
術中彼を強要して、生ける螺旋菌(黴毒菌)を眼窩後壁より頭蓋腔中に注入せしめたるな....
「弓町より」より 著者:石川啄木
に関する知識ないし詩論は何の用をもなさない。――たとえば詩(抒情詩)はすべての芸
術中最も純粋なものであるという。ある時期の詩人はそういう言をもって自分の仕事を恥....
「俘囚」より 著者:海野十三
!」 不図《ふと》、そんなことを思ってみて、後で慌てて取り消した。そろそろ夫の
術中に入りかけたと気が付いたからである。「妻の道、妻の運命」――と夫は云ったが、....
「蠅男」より 著者:海野十三
探偵ぶりを見せた青年探偵帆村荘六も、いま一歩というところで、無念にも蠅男とお竜の
術中に陥り、いま湯気に煙る砂風呂のうちに惨殺されようとしているのであった。なんと....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
勢いを増したのであった。 これこそ、佐助の思う壺であった。五右衛門の奴め、わが
術中に陥ったとは、笑止笑止と、佐助は得意満面の、いやみな声を出して、 「やよ、五....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
、一は半高山の絶頂から、一は三ノ嶽の中腹から、左右の翼を張らしめた。官軍は見事に
術中に陥入って算を乱して斃れる。時機はよしと、午後一時頃薩軍は突出して殺到した。....
「痴人の復讐」より 著者:小酒井不木
が、私はそれをクロヽフォルムだけにしたならば、ヒステリックな患者はことによると手
術中に死ぬかも知れぬと思いました。助手の失敗は教諭の失敗でありますから、責任感の....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
ハ、夫レ等僅少ナル寸法ヲ短縮スル等ノ技術ハ極メテ容易デアル。凡ソ人体各部ノ整形手
術中、人間ノ顔ホド簡単ニ整形形状変更等ヲナシ得ル部分ハ他ニナイ。殊ニソノ整形ノ効....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、目的とするものが全然異なっていると云う事なんです。言葉を換て云えば、貴女は私の
術中にまんまと陥ってしまったのですよ。実を云うと、あの心理試験を用いた真実の目的....
「肉腫」より 著者:小酒井不木
て居たが、やがて細君の方を見て言った。 「お豊、お前も覚悟しとるだろう。たとい手
術中に死んでも、この畜生が切り離されたところをお前が見てくれりゃ、俺は本望だ。な....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
て行きました。 はっと我に返った私は、室外の人々に、妻が絶息したことを告げ、手
術中誰も中へはいって来ないように頼み、速かに手術に取りかかりました。 胸の皮膚....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
に立つのを避けた。敵は愈よ増長して、穴の奥から二匹三匹這い出して来た。彼等は我が
術中に陥ったのである。 「占めたッ。」 巡査は心に喜んで、闇を探りながら衝と寄....
「『小さな草と太陽』序」より 著者:小川未明
ら知らない不明な輩です。 芸術は、ほんとうに現実に立脚するものです。童話は、芸
術中の芸術であります。虚無の自然と生死する人生とを関連する不思議な鍵です。芸術の....