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「街中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

街中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仙人」より 著者:芥川竜之介
へのせる、それから、鼓板《こばん》を叩いて、人よせに、謡《うた》を唱う。物見高い街中の事だから、大人でも子供でも、それを聞いて、足を止めない者はほとんどない。さ....
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
いろんなくだらないものが引っかかっていた。彼は生まれてこの方ただの一度も、日々、街中《まちなか》でくり返されているできごとなどには注意を向けたこともなかったが、....
猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
。 自動車は白い土埃《つちぼこり》を上げ、乾燥し切った秋の空気を切って日照りの街中を走った。 「困っているんだったら、だれかの世話になってもいい気はないかね?....
千年後の世界」より 著者:海野十三
争はありますか」 「戦争? ええ戦争はありますとも」 そういっているところへ、街中をつきぬけるような大きな声が、ひびきわたった。なにごとか早口で喋っている。チ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
していらっしゃるんじゃないですか……むす子さんも……」 かの女はむす子が巴里の街中でも、かの女を引っ抱えるようにして交通を危がり、野呂間野呂間と叱りながら、か....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
線路伝いに歩きかねない意気込をもっていた。彼はこの二三日炎天の乾干みたいになって街中を歩き飛ばしていたが、何処でどう捜し求めて来たのか『カルバス』の行商をやって....
ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
彼は歯のない齦を見せて笑った。 「しかしヒルミ夫人の冷蔵鞄のことについては、この街中で誰よりもよく知っているこの私でさあ。香りの高いコーヒー一杯と、スイス製のチ....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
した。父と母とには見栄があるのです。なまじっか商いでもやろうものなら、すぐにこの街中噂がたちます。それは恥だというのです。私が勤めに出たいと云ってもゆるされませ....
頭髪の故事」より 著者:井上紅梅
そのこと、辮子を廃し、洋服を著《き》て、大手を振って往来を歩いた。 街を通ると街中が笑い声になった。中には後《うしろ》へ跟《つ》いて来て罵る者がある。 『唐変....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ることが出来る。子供のとき私たちはアイスクリームというものを知らなかった。しかし街中で一番冷たい水の湧く、寺の井戸から清水を掬んで来て、店にある白砂糖を入れ、ト....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
ものは、日増し私には、郷愁が募って参りました。あの濃碧の海、同じ色のような空――街中はひっそり閑としていて、塔があちこちに聳え、時折は家毎の時計が、往還の真中で....
地上」より 著者:島田清次郎
あった。彼は幾度も空を仰いだが、彼の好きな星は一つも見えなかった。群集におされて街中へ出ると、両側の家々には黒い幔幕が引きまわされ、黒い章のついた提灯が軒並に吊....
新案探偵法」より 著者:小酒井不木
呼んで居ましたが、先日突然犬が居なくなったので、悲しさのあまり一時的に、発狂して街中をさがしまわったのです。そうして、たまたま彼の口走ったよし子の名が、煙草屋の....
西航日録」より 著者:井上円了
を説くと同時に、日本人に飲酒の害を説きて戒慎を加えしめざるべからず。 シナの市街中、最も余輩の目に触れたるものは、卜筮、人相、方位の看板を掲ぐる店のすこぶる多....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
つなぐあたわず、船の上下必ず小舟を用いざるを得ざるは、その欠点とす。余が宿所は市街中なるも、渓山の間にありて、四隣静閑、眺望絶佳、夜景ことによし。山腹および海岸....