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街衢
「街衢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
街衢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
のいずれの都市よりもすぐれた便宜を持っていはしないかと思う。堀割に沿うて造られた
街衢《がいく》の井然《せいぜん》たることは、松江へはいるとともにまず自分を驚かし....
「家」より 著者:島崎藤村
のことでも――子供のことでも――自分のことでも」 こんな調子で、あだかも繁華な
街衢を歩く人が、右に往き、左に往きして、他を避けようとするように、実はなるべく弟....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
結われたが、江戸ッ児は男も女も噪ぐのが面白く、葭簀を境いにキャッキャッとの騒ぎ、
街衢をはなれたこの小|仙寰には遠慮も会釈もあったものではない。 滝の名所はここ....
「北京・青島・村落」より 著者:豊島与志雄
は東西か南北かの方向に整然と開かれ、大通りには槐の並木がある。そしてこの整然たる
街衢のなかにあっては、あらゆるものが落着いた平穏な相貌を示している。目貫の大通り....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
何にも見ようとはしなかった。そして通りがかりに最初見てとったもの、無様式な新しい
街衢《がいく》や四角な大建築などは、もっとローマを知りたいとの念を起こさせはしな....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
配《けはい》、おりおり高まる騎兵の疾駆する音、砲兵の行進する重いとどろき、パリー
街衢《がいく》に交差する銃火と砲火、屋根の上に立ち上ってゆく金色の戦塵《せんじん....
「春盲」より 著者:豊島与志雄
だ点在的にしか建っておらず、植えられた樹木も灌木の如く小さい。随って、焼け残りの
街衢は、荒野の中に小さな聚落をなし、こんもりとした樹木の茂みに包まれて、町ではな....
「秦の憂愁」より 著者:豊島与志雄
しく浮んでくるのだった。 その情景は遠く、蘇州美人の面影は手近にぼやける……。
街衢の騒音がすべてを呑みつくそうとするのだ。そういう状態で星野がぼんやりしている....
「朝やけ」より 著者:豊島与志雄
って、ちょっと外へ出てみた。大気は淀んでいた。空は暗く、星の光りはかすんでいた。
街衢の灯は乏しく、あちこちに焼け残りのビルが真黒くつっ立っていた。陰欝な夜と眺望....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
っている。新堀は見えなくなってその上を電車の通ったのは前々からであるが、震災後|
街衢が段々立派になり、電車線路を隔てた栄久町の側には近代茶房ミナトなどという看板....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
行先を急がぬらしく、馬上に笠を戴《いただ》く旅人は疲れて眠れるが如し。江戸繁華の
街衢《がいく》を行くものもまた路傍の犬と共に長き日を暮らしかぬるが如き態度を示せ....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
がなかった。しかしこれら市中の溝渠は大かた大正十二年|癸亥《きがい》の震災前後、
街衢《がいく》の改造されるにつれて、あるいは埋められ、あるいは暗渠となって地中に....
「帝国劇場のオペラ」より 著者:永井荷風
。それ故わたくしの西洋音楽を聴いて直に想い起すものは、深夜の燈火に照された雪中|
街衢《がいく》の光景であった。 然るに当夜観客の邦人中には市中の旅館に宿泊して....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
した都市の光景もここに至れば驚異の極、何となく一種の悲哀を催さしめる。この悲哀は
街衢《がいく》のさまよりもむしろここに生活する女給の境遇について、更に一層痛切に....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
養老元年には、行基の如き高僧すらが、歴門教化をしたり、食物以外の余物を乞うたり、
街衢に罪福を説いたりしたがために、釈教に背き法令を犯すものとして罰せられ、枳林に....