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「衝く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

衝くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
っと開かれた。そのとたん、 「何奴じゃ」もう十分用意し切った声が、先手三人の胸を衝くように響いた。 頼母は、すでに怪しい物音に気がつくと、手早く寝間着の上に帯....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
して犠牲とか献身とかいう徳行が高調される。そして更にこの観念が、利己主義の急所を衝くべき最も鋭利な武器として考えられる。 そう思われることを私は一概に排斥する....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
、まだ電燈が点かないのだろう。おお、二つ巴の紋だな。大星だか由良之助だかで、鼻を衝く、鬱陶しい巴の紋も、ここへ来ると、木曾殿の寵愛を思い出させるから奥床しい。」....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
に乗ると、なるべく若い婦人の身近くを選んで座を占める。彼女の生ぐさい体臭や、胸を衝くような官能的色彩に富んだ衣裳や、その下にムックリ盛りあがった肢態などは、日常....
地球盗難」より 著者:海野十三
るような気がするものだそうだ。霧の深い朝、アルプスの山にのぼると、谷の向うに雲を衝くような巨人が出るという話がある。それをよくよく調べてみると、自分の影が霧にう....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、それをモーゼみたいに、壊さねばならぬ義務はないと思うよ」 「そうすると」熊城は衝くように云った。「先刻の弱音器記号の解釈は、どうしたんだ?」 「それなんだ熊城....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
そして、それを覆う千古の氷雪と、大氷河の囲繞。とうてい五百マイルの旅をして核心を衝くなどということは、生身の人間のやれることではない。だから、そこに冥路の国があ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
外の風にあたるや否や、そのからだも着物も見る見る融けて水となった。その臭いは鼻を衝くばかりで、それを嗅いだ者はみな疫病にかかって死んだ。 それに懲りて、かれら....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
直ぐ見て取る事が出来た。余りの不意に思わず気息を引くと、迸る様に鋭く動悸が心臓を衝くのを感じた。而してそわそわしながら、ヤコフ・イリイッチの方を向くと、彼の眼は....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
根拠地とするソ連艦隊が、北方から日本海を衝こうとする一方、われわれは南から同時に衝く。そうなると日本の艦隊は、いきおい勢力を二分せにゃならんじゃないか。そこが付....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
先刻、今も今、優しいこと、嬉しいこと、可愛いことを聞くにつけ、云おう云おうと胸を衝くのは、罪も報いも無いものを背後からだまし打に、岩か玄翁でその身体を打砕くよう....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
見ると流石に大きかった。太い鉄材の組合せの縞が直きに平らな肌になり、細く鋭く天を衝く遥かな上空の針の尖に豆のような三色旗が人を馬鹿にしたようにひらめいていた。再....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
っと下って、乳辺にあるのに気がついた。 饐えたような、髪毛の匂いがぷうんと鼻を衝く。 お悦だ――と彼はそうと知ると同時に、なぜ自分が、ここへ運ばれてきたのか....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
察もまたしばしば人生の一角に触れているので、シミッ垂れな貧乏臭いプロの論客が鼻を衝く今日緑雨のような小唄で人生を論ずるものも一人ぐらいはあってもイイような気がす....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
上に湛えているのです。これが秀吉にとっては驚異であるばかりでなく、日頃他人の虚を衝くのを得意としている秀吉の自信を裏切らせるものであります。秀吉にはもう一人、天....