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衝立
「衝立〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
衝立の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
はさすがな間喜兵衛も、よくよく可笑《おか》しかったものと見えて、傍《かたわら》の
衝立《ついたて》の方を向きながら、苦しそうな顔をして笑をこらえていた。
「伝右衛....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
だい」 ポールは無言でペン公の手を握って引き立てた。そして部屋の隅に立っている
衝立の蔭に引張りこんだ。 スルスルと衣服の摺れ合う音がした。
衝立の上に、ポール....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
竹座へ乗込んだ俳優だ、と思ったし、旦那が留守の、座敷から縁越に伸上ったり、玄関の
衝立の蔭になって差覗いた奥様連は、千鳥座で金色夜叉を演るという新俳優の、あれは貫....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
にある特設電話器の延びて行く先を辿ってゆくならば、例の会合のある三階の窓際にある
衝立の蔭に達しているのを発見するであろう。そればかりではない、その
衝立のうちには....
「火星兵団」より 著者:海野十三
課長はうなずくと、そそくさと自分の席を立って、向うへ行った。
その課長の姿は、
衝立の後へ消えたが、そこで彼は、足をとどめた。課長を呼びに来た警官も、また、そこ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
は飛んでいって、襖をサラリと開けた。 「アアアア――」 房子は薄ものの長い袖を
衝立にして、髪を見せまいと隠していた。 「あッ、素敵。――さあ、お見せ」 「ホホ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
き、たたき、例の玄関の処へ出て、これなら聞えようと、また手を敲こうとする足許へ、
衝立の陰から、ちょろりと出たのは、今しがた乳母どのにおぶわれていた男の児で、人な....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
立膝で、お下りを這曳いたらしい、さめた饂飩を、くじゃくじゃと啜る処―― 横手の
衝立が稲塚で、火鉢の茶釜は竹の子笠、と見ると暖麺蚯蚓のごとし。惟れば嘴の尖った白....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
をこすられた時は、小宮山がその時の心持でありましょう。 嚔もならず、苦り切って
衝立っておりますると、蝙蝠は翼を返して、斜に低う夜着の綴糸も震うばかり、何も知ら....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
一軒家の門を離れた、峠の絶頂、馬場の真中、背後へ海のような蒼空を取廻して、天涯に
衝立めいた医王山の巓を背負い、颯と一幅、障子を立てた白い夕靄から半身を顕わして、....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
呻った。 「鉄の鞭で手前を引ッぱたくぞ」 幾日かのあとで、彼は遂に錢府の照壁(
衝立の壁)の前で小Dにめぐり逢った。「讎の出会いは格別ハッキリ見える」もので、彼....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
あの薄暗いなかにさ、胸の処から少し上をお出し遊ばして、真白な細いお手の指が五本|
衝立の縁へかかったのが、はッきり見えたわ、御新造様だあね。 お髪がちいっと乱れ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ゴ港に入る。一つの円丘のような山あたり石屋が隣り合って建つ。ふりかえれば青い山が
衝立のごとく雲をつき上げるように立ち、見渡すかぎりの風景は旅客の俗塵を洗うかと思....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
が知れる。 「待て。」横の方から誰やらが中音で声を掛けた。 広間の隅の、小さい
衝立のようなものの背後で、何物かが動く。椅子の上の体は依然として顫えている。 ....
「雨の宿」より 著者:岩本素白
うな造りではなく、門をはいった突き当りが薄暗い勝手口で、横手の玄関に小さい古びた
衝立を据えたところなども、土地馴れない眼には漢方医者の家を客商売に造り替えたよう....