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「衣桁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

衣桁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
犯人」より 著者:太宰治
た。洗濯をすまし、鬚《ひげ》を剃《そ》って、いい男になり、部屋へ帰って、洗濯物は衣桁《いこう》にかけ、他の衣類をたんねんに調べて血痕のついていないのを見とどけ、....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
」 「出た段じゃねえんです。泊まり替えたその宿屋でもまた、朝になってみるてえと、衣桁《いこう》にかけておいた着物までが、ぐっしょりと水びたしになってね、おまけに....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
寄って彼女の髪をゆい直すと、今度は着物を着かえろと云った。女たちがまた手伝って、衣桁にかけてある艶やかなお振袖を取って、お蝶のすくんでいる肩に着せかけた。錦のよ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
印鑑や書付の入った小さい折鞄をうけとると、仏壇の前へ載せ、それから着換えの羽織を衣桁から取って、長造の背後からフワリと着せてやった。「すこし時間がおかかりなすっ....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
――黒幕―― 浅香居間 やや古代めいた装飾。小さな仏壇、お灯明があがっている。衣桁に着物が掛けてある。壁に三味線が二丁、一丁には袋がかけてある。火のともった行....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
へ行って一つの袴(腰から下へ着ける衣である)を買って来た。その丹い色が美しいので衣桁の上にかけて置くと、夜ふけて彼が眠ろうとするときに、ひとりの美しい女が幃をか....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
て、座敷も辛じて黒白の分るくらいであった。金屏風とむきあった、客の脱すてを掛けた衣桁の下に、何をしていたか、つぐんでいて、道陸神のような影を、ふらふらと動かして....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
て、滞りなく既に夕餉を進めた。 されば夫人が座の傍、肩掛、頭巾などを引掛けた、衣桁の際には、萌黄の緞子の夏衾、高く、柔かに敷設けて、総附の塗枕、枕頭には蒔絵も....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
はみんな出払っていて、四辺はひっそりと静かであった。女太夫の楽屋のことで、開荷、衣桁、刺繍した衣裳など、紅紫繚乱美しく、色々の物が取り散らされてあった。 「でも....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
両国の芝居小屋、阪東米八の楽屋であった。 午後の陽が窓からさしていた。あけ荷、衣桁、衣裳、鬘、丸型朱塗りの大鏡台、赤を白く抜いた大入り袋、南京繻子の大座布団、....
剣侠」より 著者:国枝史郎
睫毛が顫え唇の左右が、痙攣をしたばかりであった。 窓から西陽が射し込んで来て、衣桁にかけてある着替えの衣装の、派手な模様を照らしていた。 二三度入り口の暖簾....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
うだのに、部屋の中の薄暗くて陰気なことは! しかしそういう薄暗さの中に、朱塗りの衣桁が立ててあって、「連歌盗人」の都雅な衣裳が、無造作に掛けられてあるところは、....
註文帳」より 著者:泉鏡花
の声がした。 しばらくすると、密とまたその着物を取り上げて、一ツずつ壁の際なる衣桁の亙。 お若は力なげに洋袴をかけ、短胴服をかけて、それから上衣を引かけたが....
雪柳」より 著者:泉鏡花
包んだような光明がさして、金襴の衾、錦の褥、珊瑚の枕、瑠璃の床、瑪瑙の柱、螺鈿の衣桁が燎爛と輝いた。 覚悟をしました。たしかに伝来の魔法にかかった。下司と、鈍....
アイヌ宗教成立の史的背景」より 著者:知里真志保
が出来るのであります。 また、それらの神謡や散文の物語の中では、山の神は壁際の衣桁から熊の毛皮をとりおろして、それを身につけると忽ち熊になるとか、熊の肉は山の....