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表口
「表口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
表口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て、与次郎がもう虫の息になった頃をみすまして、善昌は裏からそっと出て行く。お国は
表口へ廻って来て、今初めてそれを見つけたように騒ぎ立てる。与次郎は一杯食わされて....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
たりのよい奥のえん側に、居睡りもしないで一心にほぐしものをやっていられる。省作は
表口からは上がらないで、内庭からすぐに母のいるえん先へまわった。 「おッ母さん、....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
筒屋もいやになった、また自分自身をもいやになった。 僕が帰りかけると、井筒屋の
表口に車が二台ついた。それから降りたのは四十七、八の肥えた女――吉弥の母らしい―....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
すがに昂奮の色を見せて誰に云うとなく叫んだ。と同時に、刑事らしい一人がバタバタと
表口へ駆け去った。 男湯と女湯との仕切板の上から、いくつも覗いていた顔は、一様....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
。ではこのカフェ・オソメも大丈夫であろう。こんな風に、隣りから隣りのカフェへと、
表口を一々しらべていった。だが、何処にも異状が見当らなかったのだった。 「人殺し....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
鬼川の身体を肩に担いで、カーテンの蔭に、かくれてしまった。 そのころ、放送局の
表口では、暴徒の一団と、警備軍の救援隊とが、物凄い白兵戦を展開していた。 全市....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
子供は出て行ったに違いないのです……時に、あなたが最初ここへ駈けつけられた時に、
表口にそれらしい足跡はありませんでしたか?……その連中はあなたより先にここを出て....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
つぼつ自動車の修理にとりかかった。が、彼の目は自動車にそそがれるよりも、警察署の
表口と裏口あたりにそそがれる方がひんぱんであった。どうしても張番をしているとしか....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
模型づくりもやめてしまった。 時計はもう七時だ。 するとピピーと口笛の音が、
表口の方にした。 「ああ、清ちゃんが来た」 丁坊は、そのままとび上るようにして....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
誰でも棺桶を抛り込んで封印をしてしまえば、それで安心をする。しかし封印をしたのは
表口だけのことだ。封印をしてないところが上下左右と奥との五つの壁だ。一見それは耐....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
する。逃げても、逃げても、追っかけてくる。それでも一生懸命に家まで逃げて帰って、
表口から転げるように駈け込んで、まあよかったと思うと夢がさめた。そんなら夢であっ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
思案していたが、やがて又かれの耳に口をよせると、侍従は心得顔にうなずいて、すぐに
表口の方へその姿を消した。小坂部は一旦自分の部屋へ帰って、忙しそうに身支度をして....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
の上|極りを悪がらせまい用心で、見舞もいわない、知らん顔で……ぞろぞろついて来た
表口の人だかりを、たッつけを穿いた男が二人、手を挙げて留めているのが見えました。....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
、ドロドロになる。瓦はみんなめくられてしまうという騒ぎ。火事がおさまってみると、
表口は何ともないのに奥は半壊の状態で、雨もりはする、とてもここに住めないというの....
「青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
慮するとしよう」客は不快な顔をして起ち上ると、皆が止めるのもきかないで、さっさと
表口の方へ行った。初子は大分酔っていたので、足許も危ぶなかしく後を追い馳けたが、....