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表向き
「表向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
表向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文放古」より 著者:芥川竜之介
――つまりあたしの叔父《おじ》だわね。叔父だけは嫁《よめ》に貰いたいのよ。それも
表向きには云われないものだから、内々《ないない》あたしへ当って見るんでしょう。そ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
、すぐに御推察が参るでしょう。それがまた幸《さいわ》いと、即座に話がまとまって、
表向きの仲人《なこうど》を拵《こしら》えるが早いか、その秋の中に婚礼も滞《とどこ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
って結構なくらいである。 そのこれを難ずるゆえんは……曰く……言い難しだから、
表向きはどこへも通らぬ。 困ったな、と腕を組めば、困りましたねえ、とお蔦も鬱ぐ....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
を頼んでほしいね」 「ちょっと私から申上げますが」と先刻から黙々として卓子の上に
表向きにした牌を種類どおりに綺麗に並べあげて、その表をつくづくと眺めていた帆村探....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
手は正しく伸ばされていた。 四 被害者ふみ子の寝床は、春江の場合に於けるが如く、
表向きの窓際にはなく、それと九十度だけ右廻りに廻った壁ぎわに寝ていた。 (因に、....
「蠅」より 著者:海野十三
ーから切符を買うと、秘密の映画観賞会のある会合へ、こっそりと忍びこんだ。会主にも
表向き会わないで、昂奮だけをソッと一人で持ってかえりたいと思ったからである。 ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
座していたことがあるのです。やっぱり銀平の一団でしたよ。お八重というのが本名で、
表向きは蛇使いですよ」 「人違いじゃない? 速水さんの調べが済んでるのよ」 「い....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
ったのだが、日清戦争で復活して、また以前のように盛んに借金していた。そして父は、
表向きの副官であるよりも、より以上に比志島家の財産整理のために忙がしかった。旅団....
「河明り」より 著者:岡本かの子
にとどめて、母だけ追出そうとしきりに焦ったのです。それでも堺屋の母はただ僕の母に
表向きの難癖をつけたり、失敗を言い募ったりする、まだ単純なものでした」 ところ....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
れからみんなで手わけして研究しながら、必要な脱出道具を手にいれていきたい。これは
表向きにいったんでは、手にはいらないことがわかっている。ついては、これから先、三....
「海底都市」より 著者:海野十三
も表面に立っていない。そのわけは、僕は日かげの身で、表面には立てないのだ。僕は、
表向きに名のりをあげると、ただちに逮捕せられて、例の海底牢獄《かいていろうごく》....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
父親、小児を弟に、不意に尋ねて来た分に、治兵衛の方へ構えるが可い。場合によれば、
表向き、治兵衛をここへ呼んで逢わせるも可かろう。あの盲いた人、あの、いたいけな児....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
になって、お稲さんにあやかりましょう。そのうまれ代わりになりましょう、と云って、
表向きつてを求めて、お稲さんの実家に行って、そして私を――その後妻を――兄さんの....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
水絵具の立看板。」 「黙って。……いいえ、お上人よりか、檀家の有志、県の観光会の
表向きの仕事なんです。お寺は地所を貸すんです。」 「葬った土とは別なんだね。」 ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ているとは思わない。私だって、実際|生存えていようとは考えないが、随分その当時、
表向きに騒いで、捜索もしたもんだけれども、それらしい死骸も見附からないで、今まで....