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「表玄関〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

表玄関の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
M侯爵と写真師」より 著者:菊池寛
りました。それにもう一つ、感心したのは杉浦の度胸でした。汚い背広を着て、侯爵家の表玄関から堂々と、家令をおどかしながら、御馳走になりに行く杉浦の度胸です。すっぽ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
三月七日の昼八ツ(午後二時)頃に、何処をどうはいって来たのか、ひとりの男が本丸の表玄関前に飄然と現われて、詰めている番の役人たちにむかって『今日じゅうに天下を拙....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
と丸めると、着物の袂に無造作に投げこんだ。そして嬉しさにワクワクする胸を圧えて、表玄関の人込みの中を首尾よく脱出したのだった。 こうして私の永く研究していたス....
寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
い足跡もなく、家の中にもサンタ・クロースの姿はおろか子供の影もないと云えば、この表玄関からサンタ・クロースと子供は出て行ったに違いないのです……時に、あなたが最....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
るのでした。 怪物の怪力 「では出動用意」警部は手をあげました。「第一隊は表玄関より、第二隊は裏の入口より進む。それから第三隊は門内の庭木の中にひそんで待....
火の扉」より 著者:岸田国士
を見るのがいやであつた。 すると、ひる過ぎの、まだ日のかんかん照つている最中、表玄関のベルが鳴つて、取次ぎに出た婆さんが、駆け込むように彼女の部屋へはいつて来....
光は影を」より 著者:岸田国士
南条さんが、今どき、変に、固苦しいのよ。なにもわざわざ、叔父さんまで連れて来て、表玄関から申込むつていう手はないわ」 多津が、ずばりと、真理らしい一言をもらし....
おせっかい夫人」より 著者:岡本かの子
こじ開けさせて、男を家の中にいれてやりました。 三十分ばかり後、男は国枝さんの表玄関を内側からあけ、可成な重味の見える風呂敷包みを持って現われました。男はあれ....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
瓦斯を遁れて健康の丘と呼ばれるハムステットに日常人事の受付所として設けた此の邸の表玄関に較べて、ひそやかで而かも華やかな裏庭一帯の感じは、彼が平常多くの時間を過....
夜光虫」より 著者:織田作之助
――差し障りがあってはいけないから、わざと頭文字だけにして置くが――S署は大阪の表玄関にある警察署である。いわば大阪の代表的な警察署だ。 その警察署へ、単身乗....
屏風祭」より 著者:上村松園
かったものである。 祇園祭になると四条通りの祇園界隈では、その家の秘蔵の屏風を表玄関の間に飾って道ゆくひとに観せるのであるが、私はそれらの屏風を窺いて廻っては....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
たる浜田健次郎、その下に古川常一郎、陸実等、いずれも聞ゆる曲者が顔を列べ、而して表玄関の受附には明治の初年に海外旅行免状を二番目に請取って露国の脳脊髄系を縦断し....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
間違いであったこと、あの大仰な逡巡と譲歩の組立ては、単に人の目をごまかす念入りな表玄関にすぎず、一歩はいった内側はすべて鉄壁であったことを、理解したのであった。....
情鬼」より 著者:大倉燁子
儘黙ってしまった。夫人は気の抜けたようになっている私を急き立てて、こんどは改めて表玄関から名刺を出し、吉岡五郎氏に面会を求めた。二人は長い間玄関の敷石の上で待た....
深夜の客」より 著者:大倉燁子
ら――」 「それなら、何故、玄関から案内を乞うておいでにならないのですか?」 「表玄関から――、上られる身ではございませんので――」 応接室の硝子窓を破って闖....