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「表裏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

表裏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
古千屋」より 著者:芥川竜之介
のように明かだった。家康は古千屋の狂乱の中にもいつか人生の彼に教えた、何ごとにも表裏《ひょうり》のあるという事実を感じない訣《わけ》には行《ゆ》かなかった。この....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
る為めには、お前のような行き方は大変に都合がいい。お前の内部にどれ程の矛盾があり表裏があっても、それは習俗的な社会の頓着するところではない。単にお前が殊勝な言行....
食魔」より 著者:岡本かの子
妬と驚異を感じた。二人は心秘かに「あいつ偉い奴じゃ」と互いに舌を巻いた。 起伏表裏がありながら、また最後に認め合うものを持つ二人の交際は、縄のように絡み合い段....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
を見ることは、主客、友人として特定時間内に何年逢って居るよりも何程か多くその人の表裏全幅を知悉し得ると云えよう。私はもはや二十日以上も、麻川氏と壁一重を隔てたば....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ね。その証拠には、他のものと比較して見給え。全部正式な結法で、三乳から五乳までの表裏二様――つまり六とおりの古式によっている。ところが、この鍬形五枚立の兜のみは....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
|故、あまり利口でなく、旧弊で頑固であったに違いない。信長の違約を怒って、こんな表裏反覆の信長のことだから、越前よりの帰りがけには、きっと此の小谷城へも押し寄せ....
近時政論考」より 著者:陸羯南
ず、フランツといえる人の国家理論に「リベラール党とコムニスト党との論はまったく相表裏すれどもともに謬れり、そのゆえはリベラール党は務めて国権を減縮し務めて民権を....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
の前の此の娘の出現にこんなに無関心で居られる――娘といい、夫人といい、巴里の女の表裏、真偽を今更のように新吉は不思議がった。遊戯のなかに切実性があり、切実かと思....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
何んと考えたか、それなり追求を止めて去らしめてしまった。然し、その一事は、事件の表裏二様に咲いた、二つの花に等しかったのである。 やがて、検事がいそいそとして....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
糸でかがり合せるのでなく、針金で綴じるのであるが、ぞんざいなやり方の場合は、釘を表裏から打ちつけて固定する。名の通りの釘とじもある。正しく云えば釘とじと針金とじ....
迷信解」より 著者:井上円了
に至りては、千百中に一もあたることは難い。つまり、易筮にて吉凶を判ずるも、銅銭の表裏にて判ずるも、そのあたる理は同一なるべきも、簡単なる銅銭にては、信仰が薄くな....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
合いの敵手の方に非分があったが、実は何でもない日常の些事をも一々解剖分析して前後表裏から考えて見なければ気が済まない二葉亭の性格が原因していた。一と口にいえば二....
」より 著者:カフカフランツ
絶されるだけです。こういうわけで、法にのっとった採用もそのほかの採用もいろいろな表裏両面の困難にみちあふれているんです。で、そんなふうなことに手を出す前には、万....
天を怖れよ」より 著者:小川未明
あろうか。そして、彼等より正直で、忠実なものが、他にあったであろうか。その感情に表裏がなく、一たび恩を感ずれば、到底人間の及ばぬ忍耐と忠実とを示して来たのであり....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
おられるけれども、あれはほんの世間体を繕う為で、上人の本心ではない。上人の言みな表裏ありで、本当の事を言ってはおられないのである。上人は毎日日課として七万遍の念....