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衰残
「衰残〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
衰残の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
三十人に近い石工があつめられた。工事は、枯葉を焼く火のように進んだ。 人々は、
衰残の姿いたいたしい市九郎に、 「もはや、そなたは石工共の統領《たばね》をなさり....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
利益と人道とが手を取って行く世の中となって来たから、よろしく日本を良導して東洋諸
衰残国の師たる位置に達せしめるがいいというような、比較的同情と親愛とをもって進ん....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
が、歯の抜けて落ちくぼんだ頬《ほお》を、眼の下から斜めにたち切っていた。そういう
衰残の憐《あわ》れな顔を刻んだものは、ただ老年と疾病《しっぺい》のみではなかった....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
た。さる老落語家の手記によると、於梅は寄席では主に手踊りなど見せていたらしいが、
衰残の大姥桜、せっかくの踊りも脂気が抜けてただいたましく寄席もひと廻り巡演しただ....
「夜長ノート」より 著者:種田山頭火
蠅』が一匹とまっている。じっとして動かない。翅の色も脚の色もどす黒く陰気くさい。
衰残の気色がありありと見える。 秋の田園を背景として、蠅と猫と老祖母と、そして....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
からざる重要の人物であったばかりでなく、世間の人気もまた彼にあつまっていた。晩年
衰残の悲運を誰か知ろうぞ、かれは実に一座の花形役者であった。そのほかには小織桂一....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
末の一劃ばかりがわずかに淋《さび》しく悲しい裏町の眺望《ながめ》の中《うち》に、
衰残と零落とのいい尽《つく》し得ぬ純粋一致調和の美を味《あじわ》わしてくれたので....