袂別[語句情報] »
袂別
「袂別〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袂別の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
て、わたしたち自身の世界に永劫の結合と深遠の愛を誓ったのであったら、かくも悲惨な
袂別《べいべつ》を告げることはなかったでしょう。しかし、わたしたちは愚かにも、開....
「さようなら」より 著者:田中英光
北的な無常観に貫ぬかれた、いかにもあっさり死の世界を選ぶ、いままでの日本人らしい
袂別《べいべつ》な言葉だ。 「人生足別離」とは唐詩選の一句。それを井伏さんが、「....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
は昔の比較にならないとハース氏が話した。 九時ごろから喫煙室でN君ハース氏らと
袂別の心持ちでシャンペンの杯をあげた。……十時過ぎにストロンボリの火山島が見えた....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
しる、されば、生命ある限り二度と再び立ち戻るを得ず、つつしんで永劫《えいごう》の
袂別《けつべつ》をもうす」
かしわ手の音がつめたく背すじを走った。どこかですす....
「辞典」より 著者:戸坂潤
却けてイスクラを脱退した。かくてイスクラはメンシェヴィキのものとなり、レーニンと
袂別したプレハーノフは爾後暫くの間全くのメンシェヴィキとして止まった(『吾等の批....
「巴里の秋」より 著者:岡本かの子
て歩く音の方がふさわしい感じである。巴里に秋が来たのだ。いつ来たのだろう、夏との
袂別をいつしたとも見えないのに秋をひそかに巴里は迎えいれて、むしろ人達を惑わせる....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
れたものであり、民衆を腐敗させることができるばかりであって、民衆はぜひともそれと
袂別《べいべつ》すべきであり、単独で進んでゆくべきである、というように誠意ある人....
「握った手」より 著者:坂口安吾
であった。そして、彼女を見つめて、言葉をつづけた。 「キミはこのへんで本と眼鏡に
袂別すべきじゃないか。キミの一生にとって、それはどうせ一時期のものにすぎないのじ....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
ると云う事は、耐らないことであったのだ。 或日とうとう最後の時が来た。私は父に
袂別の辞を述べて家を出たのだ。それから人目を避ける為めに偽名をして、この路次の奥....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
歌がでました。
御仏のみくににむかふ舟のうへのり得る人の喜べるかな
神戸港頭の
袂別
七月十二日にシンガポールに到着しました。同地の扶桑館という宿屋に着いて....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
にほひゆくとは、変れる所あるにこそ。 これが為兼の結論である。そして為兼は為世と
袂別する。 ここで私は、為兼自身あまりはっきりはいっておらぬけれども、右のよう....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
き、右馬介の眼には、あやしい涙が光っていた。 彼はわざと、こよいのような主従の
袂別をして去ったのだ。大望の前途は、容易でない。それを励まそうための、鞭と諫言を....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ものがたりなど、伺うておきたいと存ずるが」 「酒とな」 同時に彼は、この世との
袂別感をはっきり抱いた。高氏の志へ頭を下げて。 「まこと、久しく酒の香なども忘れ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
が苦悶したらしい痕はない。ただ落ちくぼんだ眼窩のへんには、なお四十七歳の肉体から
袂別しきれぬかのような生の執着が薄青ぐろく煙っていた。 「しかたがなかったのだ、....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
そう一致したからには、一日も寸時も早くと、彼はすぐ君前に暇を乞い、同座の人々とも
袂別して、あの席からすぐに立って、馬を姫路へ向けて来たものであった。 信長はい....