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「袖の下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

袖の下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
。聞いているうちに、その人が憎らしくなって、いっそ帰ってしまおうかと思った。父は袖の下に腕を組んでじっと考えこむようにしていた。おせいは二日前に兄の清逸から届い....
守の家」より 著者:伊藤左千夫
きてくれたねえ」と云って母子して自分達を迎えた。自分は少しきまりが悪かった。母の袖の下へ隠れるようにしてお松の顔を見た。お松は襷をはずして母に改った挨拶をしてか....
婦系図」より 著者:泉鏡花
まって、往生をしたんだが、対手が面を撲ったから、癪に障って堪らないので、ちょうど袖の下に俯向いていた男の袖口から、早業でその紙入をずらかし込んで、もう占めた、と....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
んでした。そうなると奇妙にも勇気が出て来て、私は脱兎の如く、駈けつける近所の人の袖の下をくぐって、喫茶店の中に飛び込みました。ああ、しかしそれは何という物すさま....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
の湯を見て、東洋の珍奇、稚気をなしている千百の奇癖のまたの例に過ぎないと思って、袖の下で笑っているであろう。西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
宿へ遁返った時は、顔も白澄むほど、女二人、杓子と擂粉木を出来得る限り、掻合わせた袖の下へ。――あら、まあ、笛吹は分別で、チン、カラカラカラ、チン。わざと、チンカ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
りもしないで、湯女と同じ竹の子笠を胸へ取って、襟を伏せて、俯向いて行きます。……袖の下には、お位牌を抱いて葬礼の施主に立ったようで、こう正しく端然とした処は、視....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
て、簾越に薬玉が消えんとする。 やがて、向直って階を下りて来た。引合わせている袖の下が、脇明を洩れるまで、ふっくりと、やや円い。 牡丹を抱いた白鷺の風情であ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
人は上框に立ちたるまま、腕を延べたる半身、斜に狭き沓脱の上に蔽われかかれる。その袖の下を掻潜りて、衝と摺抜けつつ、池ある方に走り行くをはたはたと追いかけて、後よ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
を引上げて濁水に脛を浸しながら、物珍らしげに門の前を歩いていた。猟犬ジャムはその袖の下を、ちゃぶちゃぶと泳ぎ、義作は夕立の背を干して、傍に立っていた、水はやや駒....
星女郎」より 著者:泉鏡花
上の貴婦人で。蚊帳の萌黄に色が淡く、有るか無いか分らぬ、長襦袢の寝衣で居た。枕は袖の下に一個見えたが、絹の四布蒲団を真中へ敷いた上に、掛けるものの用意はなく、ま....
燕と王子」より 著者:有島武郎
ます。摘み集めながらうたう歌がおもしろいので、燕たちもうたいつれながら葡萄摘みの袖の下だの頭巾の上だのを飛びかけって遊びました。しかしやがて葡萄の収穫も済みます....
虫喰い算大会」より 著者:海野十三
られしことなれば、その実力に敬意を表し、本会場以後に於いては、それとなくヒントを袖の下からちらりと見せるようなことはよしましょう。 ささ、どうぞお進み下さい。....
三枚続」より 著者:泉鏡花
なんですよ。 何を悟ったのか、ケケッケケッ、羽ばたきをしてる奴を引掴んで両手で袖の下へ抱え込むと、雨戸が一枚ばったり内へ煽ったんですが、赫として顔が熱かったの....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ける。 私は思わず、お悦の肩を乗越した。 ここに不思議だったのは、そのお悦の袖の下にあった、円い、白い、法然頭である。この老人は、黒光りのする古茶棚と長火鉢....