袖を引く[語句情報] » 袖を引く

「袖を引く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

袖を引くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
世相」より 著者:織田作之助
になり、女が料理屋の仲居になれば、自分も板場人になり、女が私娼になれば町角で客の袖を引く見張りをし、女が十銭芸者になればバタ屋になって女の稼ぎ場の周囲をうろつく....
思い出の記」より 著者:小泉節子
しく尋ねますと、店番の女が英語でおねだんを申しました。ヘルンは不快な顔をして私の袖を引くのです、買わないであちらへ行きました。 早稲田大学に参るようになりまし....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
大きに驚き、長二の身の上を案じ、大抵にしておけと云わぬばかりに、源八が窃と長二の袖を引くを、奉行は疾くも認められまして、 奉「こりゃ止むるな、控えておれ」 ....
怪星ガン」より 著者:海野十三
ていいやら、けんとうがつかない。 「帆村のおじさん」と、三根夫が、帆村荘六の服の袖を引く。 「なんだい」 「おもしろいことになってきましたね。たいへんめずらしい....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
だ」 と、金博士はあたりをきょろきょろと見廻す。そのときベッドの下から大先生の袖を引く者があった。 「おッ」 その怪しげなる袖引き人間は、外でもなく油断をし....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
、半之丞さま。虎松で厶いますよ」 と、死闘の場を窺いながら、半ば失心の体の男の袖を引くと、かの男は邪慳に袖を払って、スタスタと出る。 「もし、半之丞さま。虎松....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
。先方からも毎日のように来るんです。そして兄さん、兄さんと、云ううちには、きっと袖を引くに極っているんです。しかも奥さんは永々の病気の処、私はそれが望みでした。....
黒百合」より 著者:泉鏡花
人が見るぜ。出後れた日にゃあ一日|逗留だ、」と言いながら、片手に燈を釣って片手で袖を引くようにして連込んだ。お兼は身を任せて引かれ進むと、言うがごとく洞穴の突当....
魔王物語」より 著者:田中貢太郎
は帰らないだろう)と、独言を云い云い寝床の方へ往こうとして立ちあがると、背後から袖を引く者があった。驚いて揮り返って見ると、前夜の女が莞と笑って坐っていた。 「....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
ん』と私は呻きました。合図だったからでございます。……富士甚内を目っけたら、三度袖を引くようにと、教え込んで置いたからでございます。素早くこいつが敵かと、躍り立....
剣侠」より 著者:国枝史郎
うて、夜具が可うてお給仕が別嬪、某屋はここじゃお泊まりなんし」と、旅人を呼び立て袖を引く、留女の声のかまびすしい、雀色の黄昏であった。表へ向いた二階へ通された。....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
見ましたが、工合よくまいりません。それで今日もぼんやりしていたのですが、傍の孫が袖を引くので、見返ると岡田八千代女史が笑顔で立っていられました。これこそ三十余年....
報酬」より 著者:織田作之助
していた。葉子はすごすごと帰って水を飲み、母親にそのことを話すと、 「こちらから袖を引くよりも、男がからかいに来たら素人らしくいやですとモジモジしていれば、案外....
山吹」より 著者:泉鏡花
えながら)後生です。見て下さいまし。貴方に見て頂きたいものがあるんです。(外套の袖を引く、籠れる力に、画家を小流の縁に引戻す)ちょっと御覧なさいまし。 鯉を指す....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
へ上へと進む。汗はタクタク流れる。熊笹は尽きて雑木の林になる。蔓が絡む、茨の刺は袖を引く、草の実は外套からズボンから、地の見えぬまで粘りつく。 辛うじてかなり....