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「袖無し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

袖無しの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
結んでいた。筒袖かとも思われるような袂のせまい袷の上に、手織り縞のような綿入れの袖無し半纒をきて、片褄を端折って藁草履をはいているが、その草履の音がいやにびしゃ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
まし」 ――それは嗄れた声である。 で、庄三郎は振り返った。 山袴を穿き、袖無しを着、短い刀を腰に帯び、畳んだ烏帽子を額に載せ、輝くばかりに美しい深紅の布....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
発を楽しみにする三人が久しぶりの炬燵話に集まった。そこへ半蔵の父吉左衛門も茶色な袖無し羽織などを重ねながらちょっと挨拶に来て、水戸浪士のうわさを始める。 「中津....
芝刈り」より 著者:寺田寅彦
った。 ちょうど夕飯をすまして膳の前で楊枝と団扇とを使っていた鍛冶屋の主人は、袖無しの襦袢のままで出て来た。そして鴨居から二つ鋏を取りおろして積もった塵を口で....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
一三 しかし老人はビクともせず、悠然と正面へ突っ立ったが、猪の皮の袖無しに、葛織りの山袴、一尺ばかりの脇差しを帯び、革足袋を穿いた有様は、粗野では....
梅若七兵衞」より 著者:三遊亭円朝
をする、それが来たので、妙な男で、あゝ来た来た、妙な物を着て来たなア、何だハヽヽ袖無しの羽織見たような物を着て来たな、七兵衞構わずこれへ」 七「へえ」 殿「誠に....
星女郎」より 著者:泉鏡花
て貯えても、活計の立たぬ事に疾く心着いて、どれも竹の橋の停車場前へ引越しまして、袖無しのちゃんちゃんこを、裄の長い半纏に着換えたでござります。さて雪国の山家とて....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
いいようなものがあるかもしれないと想った。殊に趙太太は直段が安くて品物がいい皮の袖無しが欲しいと思っていた時だから、遂に家族は決議して鄒七嫂にたのんで阿Qをすぐ....
些細な事件」より 著者:井上紅梅
は車道の隅から車の前を突然突切ろうとしたので、車夫はこれを避けたが、彼女の破れた袖無しに釦《ぼたん》がなかったため、風に煽られて外に広がり、梶棒《かじぼう》に引....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
の秩父の山中へ、今帰って行く途中らしい。 二十人に近い植木師たちは、例によって袖無しに伊賀袴を穿き、山岡頭巾をかむった姿で、粛々として歩いていた。 その中に....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
豆や、駄菓子や、大師河原の梨の実など並べていた。デブデブ肥満った漁師の嬶さんが、袖無し襦袢に腰巻で、それに帯だけを締めていた。今時こんな風俗をしていると警察から....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
う」と思って開けましたら、燃立つような緋縮緬に白羽二重の裏、綿をふくらかに入れた袖無しです。背には粟穂違いの紋が、金糸に色糸を混ぜ合せて、鮮かに縫ってあります。....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
りのゴルジューシカでも、せいぜい可愛がるがよかろうぜ。さもなけりゃ……(と彼は、袖無し外套にくるまって、徽章のついた軍帽をかぶっている乗馬の老いぼれ士官の方を顎....
人狼」より 著者:岡本綺堂
これ、履物を出してくれ。 お妙 はい。 (お妙は奥に入る。おいよは押入れをあけて袖無し羽織を取出し、弥三郎に着せる。お妙は藁草履を持ち来りて踏み段に直せば、弥三....