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袖裏
「袖裏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袖裏の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
色なのが映《うつ》りよく似合っていた。着物の地や柄は婆やにはよく見えなかったが、
袖裏に赤いものがつけてあるのはさだかに知れた。斜《なな》め後ろから見ただけでも珍....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
られるので、カッとなり、突き殺して来たらしいのだ。そういわれて、気がつくと、右の
袖裏、襦袢《じゅばん》の袖に、真黒な血しぶきのあとがある――たしかに、横山を手に....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
ら、衣を掛けたこのまま、留南奇を燻く、絵で見た伏籠を念じながら、もろ手を、ずかと
袖裏へ。驚破、ほんのりと、暖い。芬と薫った、石の肌の軟かさ。 思わず、 「あ。....
「露肆」より 著者:泉鏡花
縞という男物の袷羽織。ここらは甲斐絹裏を正札附、ずらりと並べて、正面左右の棚には
袖裏の細り赤く見えるのから、浅葱の附紐の着いたのまで、ぎっしりと積上げて、小さな....
「栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
そうな気持がして、夜着の袖の中で、そっかりと、何のたそくにもならない、色のあせた
袖裏を掴《つか》んで居た。 いつんなったらよくなる事だろうねえ、ほんに、困り....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
鬢の毛を風に吹かせて、高らかに歌を唱い出しました。 朝に北海に遊び、暮には蒼梧。
袖裏の青蛇、胆気粗なり。 三たび岳陽に入れども、人|識らず。 朗吟して、飛過す洞....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
丹《ぎょうようぼたん》を織りなした一本|独鈷《どっこ》の帯しめた。燃ゆる緋いろの
袖裏がチラチラ袖口からは見える趣向にした。群青そのものの長襦袢また瑰麗《かいれい....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
てゆく女の姿も、まだ脚の半分ほどしか隠れていない。 白い水けむりを浴びて、赤い
袖裏や金糸の帯が光っている。あたかも平敦盛が駒を沈めて行くかのように見えるのだっ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
何者であるかも目には止めないで、帯のあい首に手をやるが早いか、キラリと抜いたのを
袖裏へ逆手に隠して、 「おい、お待ちッ!」と、癇走った声を投げた。 可憐な姉弟....