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袢纏
「袢纏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袢纏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
鳶頭《とびがしら》で、時々|目暗縞《めくらじま》の腹掛に赤い筋《すじ》の入った印
袢纏《しるしばんてん》を着て、突っかけ草履《ぞうり》か何かでよく表を歩いていた。....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
、記者の「眼」を驚かした眼のお医者がある。銀座尾張町の四辻で電車を待っていたら、
袢纏《はんてん》着の男がビラを一枚|呉《く》れた。活動の引き札かと思ったら大違い....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
員が、余りに速かったのである。 或る者は、交番の前に、青物の車を置いたまま、印
袢纏で、営門をくぐった。また或る者は、手術のメスを看護婦の手に渡したまま、聯隊|....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
る。「火事だよう」「火事だァよゥ」彼方此方で消防の若者が聞きつけ、家に帰って火事
袢纏を着て、村の真中の火の番小屋の錠をあけて消防道具を持出し、わッしょい/\駈け....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
に流れたようなかかる振舞いにも、心ばかりは洵に真に祖先に対するの敬虔を有し、尻切
袢纏の帯しめなおして窮屈そうに霊前にかしこまり、弥蔵を極めこむ両手を鯱張って膝の....
「転機」より 著者:伊藤野枝
達は、その男と一緒になって歩き出した。男はガッシリした体に、細かい茶縞木綿の筒袖
袢纏をきて、股引わらじがけという身軽な姿で、先にたって遠慮なく急ぎながら、折々振....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
御|隠居《いんきょ》さん」 戸棚を細目にあけてそう言ったのは、二、三日前の晩、
袢纏《はんてん》を紐《ひも》でしばって着てきて、台所で叱られていた女だった。 「....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
む人も違おうから、考え出すままにいろいろな事を話して見よう。 凧の種類には扇、
袢纏、鳶、蝉、あんどん、奴、三番叟、ぶか、烏、すが凧などがあって、主に細工物で、....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
にしか感じられないほど、閑寂であった。 「姐さん、よくご精が出ますね」 と、印
袢纏に、向鉢巻をした留吉は、松の枝へ、一鋏みパチリと入れながら云った。 お力は....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
なものの、それからまた一騒ぎ起ったというのは、跡見物に出掛けた市民で、各自に刺子
袢纏など着込んで押して行き、非常な雑踏。するとたちまち人心は恐ろしいもので慾張り....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
行も書き始めないうちでよかった、というような気がしながら、お菊が去ると間もなく、
袢纏《はんてん》を羽織に換えて、茶の間兼用になっている客間へ顔を出した。 客間....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
いう三十三、四になる美しいがつんとすました背の高い御殿女中風のひとだった。黒襟の
袢纏か何かで洗い髪に黄楊《つげ》の横櫛という、国貞好みの仇っぽいお神さんを想像し....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
かれと江戸っ子は濁音を嫌ったもので、「神田」は「かんた」「駒形」は「こまかた」「
袢纏着」は「はんてんき」と当然言った。「かんだ」や「こまがた」や「はんてんぎ」で....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
けもので勝負事好きの長兵衛は、きょうもすってんてんに取られて「十一になる女の子の
袢纏を借りて着」てかえってくると、家では家で、年ごろの娘お久がどこへいったか、行....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
て肩から瓢箪を提げるというような変梃な扮装をして田舎の達磨茶屋を遊び廻ったり、印
袢纏に弥蔵をきめ込んで職人の仲間へ入って見たり、そうかと思うと洋服に高帽子で居酒....