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袤
「袤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袤の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「語られざる哲学」より 著者:三木清
上の書籍を読んだといって何のふしぎもないはずである。私の情意の直観的な識別力と広
袤《こうぼう》を求める私の知識慾の遠心力とが、ともすれば新しきもの奇らしきもの病....
「壊滅の序曲」より 著者:原民喜
りそうに想えた。 正三の眼には、いつも見馴《みな》れている日本地図が浮んだ。広
袤《こうほう》はてしない太平洋のはてに、はじめ日本列島は小さな点々として映る。マ....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
既に松浦武四郎踏査による地図によって先頃からひそかに調べておいたものであった。広
袤《こうぼう》百里、樹木|鬱蒼《うっそう》たりと聞き伝えた平原であった。そこを灌....
「悟浄出世」より 著者:中島敦
いることを思え。我々の住む狭い空間が、我々の知らぬ・また我々を知らぬ・無限の大広
袤《だいこうぼう》の中に投込まれていることを思え。誰か、みずからの姿の微小さに、....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
強いて、ともに近郊に散策しつ。 小高き丘に上りしほどに、ふと足下に平地ありて広
袤一円十町余、その一端には新しき十字架ありて建てるを見たり。 お通は見る眼も浅....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
徊《はいかい》去るに忍びざるものを見出し申候。 白河の関址と申すところは、一の広
袤《くわうぼう》ある丘陵を成し、樹木|鬱蒼《うつさう》として、古来|斧斤《ふきん....
「魔都」より 著者:久生十蘭
り溶け合い、大空をどよもして大都会の小夜楽《セレナーデ》を奏するのである。
広
袤《こうぼう》八里のこの大都会の中には無量数百万の生活が犇めき合い、滾《たぎ》り....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
倍ほどの高さのユングリング・リラの切通しのかなた、西蔵高原の風雪に櫛けずられた広
袤一千リーグ(方千里)の荒れ地の果てで、眼をおどろかす荘厳華麗な大都市の実在《プ....
「越後獅子」より 著者:羽志主水
慎重に視察した揚句、署長にそう言って屍体のあった周囲《まわり》二メートル平方の広
袤《ひろさ》を、充分に灰を篩《ふる》わせた。 「此屍体は、大学へ送って解剖に附す....
「百花園」より 著者:永井荷風
来歴を示した札の文字も雨に汚れて読難くなっている。それより池のほとりに至るまで広
袤およそ三四百坪もあろうかと思われる花圃は僅に草花の苗の二三尺伸びたばかり。花圃....
「三国志」より 著者:吉川英治
仰せあるか」 「もちろん」 「危ないとは、何故ですか」 「あの辺一帯の平地は、広
袤として、一目にちょっと気づかれぬが、仔細に地勢を察するなら、湖の底にいるも同じ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ば、必定、その会戦の地は、香椎と筥崎ノ宮との間――多々羅ヶ|浜からあのあたりの広
袤でしかございませぬ」 との、観測を述べ、 「そこは宇美川、久原川の流れが合し....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
り中心人物になり了せた。 ツンドラ地帯とは蘚苔類の層積から成る幌内川の沿岸は広
袤数十里に亘る地帯の謂である。その地帯には俗に樺太葡萄と称する紅い果のフレップと....
「春の大方山」より 著者:木暮理太郎
と変ったところもあろう。 人穴の附近は、椈、楢、檜などの大木があるが、其北は広
袤数里に亘って、小灌木の外には殆ど目を遮る大木もなく、北には根原、西北には麓、西....