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被り
「被り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
被りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
学生も研究室にはいなかった。夕闇が処まだらに部屋の中には漂っていた。
三年近く
被り慣れた大黒帽を
被り、少しだぶだぶな焦茶色の出来合い外套《がいとう》を着こむと....
「春昼」より 著者:泉鏡花
異人、赤異人と呼んで色を鬼のように称うるくらい、こんな風の男は髯がなくても(帽子
被り)と言うと聞く。 尤も一方は、そんな風に――よし、村のものの目からは青鬼赤....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
大袈裟な真似をしやがって、 と云う声がしたので、見ると大黒帽の上から三角布で頬
被りをした男が、不平相にあたりを見廻して居たが、一人の巡査が彼を見おろして居るの....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
が、波に流れて渚に散った、あの貝が宝石か。 侍女二 錦襴の服を着けて、青い頭巾を
被りました、立派な玉商人の売りますものも、擬が多いそうにございます。 公子 博士....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
なる。 時に、樹の蔭より、顔黒く、嘴黒く、烏の頭して真黒なるマント様の衣を裾まで
被りたる異体のもの一個|顕れ出で、小児と小児の間に交りて斉しく廻る。 地に踞りた....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
月百姿の中の、安達ヶ原、縦絵|二枚続の孤家で、店さきには遠慮をする筈、別の絵を上
被りに伏せ込んで、窓の柱に掛けてあったのが、暴風雨で帯を引裂いたようにめくれたん....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ちっとでも楯になるものをと、皆が同一心です。言合わせたように順々に……前へ御免を
被りますつもりで、私が釣っておいた蚊帳へ、総勢六人で、小さくなって屈みました。 ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
して、仄のりと、薄赤い、其屋の板障子をすらりと開けた。 「ご免なさいよ。」 頬
被りの中の清しい目が、釜から吹出す湯気の裏へすっきりと、出たのを一目、驚いた顔を....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
廻わす。 もう一人、袷の引解きらしい、汚れた縞の単衣ものに、綟綟れの三尺で、頬
被りした、ずんぐり肥った赤ら顔の兄哥が一人、のっそり腕組をして交る…… 二人ば....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
な事は、吹つけるほどではなくても、雪を持った向風にゃ、傘も洋傘も持切れますめえ、
被りもしないで、湯女と同じ竹の子笠を胸へ取って、襟を伏せて、俯向いて行きます。…....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
つかと寄って、 「待てったら、待て。」とドス声を渋くかすめて、一つしゃくって、頬
被りから突出す頤に凄味を見せた。が、一向に張合なし……対手は待てと云われたまま、....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
珍味である。 このおなじ店が、筵三枚、三軒ぶり。笠被た女が二人並んで、片端に頬
被りした馬士のような親仁が一人。で、一方の端の所に、件の杢若が、縄に蜘蛛の巣を懸....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
「おや、千破矢様、どうして貴方、」と渋面を造って頭を下げる。その時、駿足に流汗を
被りながら、呼吸はあえて荒からぬ夕立の鼻面を取って、滝太郎は、自分も掌で額の髪を....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
合わねえんですからその方も心配はありませんが、飲むんです。この年紀で何と三升酒を
被りますぜ、可恐しい。そうしちゃあ管を巻いて往来でひッくり返りまさ、病だね。愛、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
れから面白くなるだろうと思うのです。追々お談話申しましょう。と帽子を取って目深に
被り、戸外へ出づればかの男は、何方へ行きけん影も無し。脱心たりと心|急立ち、本郷....