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袷羽織
「袷羽織〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袷羽織の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
もないことである。とこうするあいだに空はふたたび晴れた。きのうまではフランネルに
袷羽織を着るほどであったが、晴れると俄かにまた暑くなる。芭蕉翁は「木曾殿と背中あ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
見するか。」 金兵衛は寝ながらながめていられない。彼は寝床を離れて、寝衣の上に
袷羽織を重ね、床の間の方へはって行った。老いてはいるが、しかしはっきりした目で、....
「嵐」より 著者:島崎藤村
裁縫の材料、材料で次ぎから次ぎへと追われている末子が学校でのけいこに縫った太郎の
袷羽織もそこへでき上がった。それを柳行李につめさせてなどと家のものが語り合うのも....
「足迹」より 著者:徳田秋声
立つほど涼しかった。お庄は母親に頼んであるネルの縫直しがまだ出来ていなかったし、
袷羽織の用意もなかったので、洗濯してあった、裄丈の短い絣の方を着て出かけて行った....
「黴」より 著者:徳田秋声
んの二番目の子息になる欽也という医者に伴れられて、笹村の家へ来たのは、もう朝晩に
袷羽織がほしいような時節であった。笹村は、それまでにその欽也という男に二度も逢っ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
阪城でございますさ。」 と片頬笑みでわざと云う。結城の藍微塵の一枚着、唐桟柄の
袷羽織、茶|献上博多の帯をぐいと緊め、白柔皮の緒の雪駄穿で、髪をすっきりと刈った....
「露肆」より 著者:泉鏡花
哀なのもあれば、常店らしく張出した三方へ、絹二子の赤大名、鼠の子持縞という男物の
袷羽織。ここらは甲斐絹裏を正札附、ずらりと並べて、正面左右の棚には袖裏の細り赤く....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
寛いだ。…… 寝床を辷って、窓下の紫檀の机に、うしろ向きで、紺地に茶の縞お召の
袷羽織を、撫肩にぞろりと掛けて、道中の髪を解放し、あすあたりは髪結が来ようという....
「光は影を」より 著者:岸田国士
母は、玄関の前で、しばらく、涙を拭いていた。 父は、終始無言のまゝ、母の差出す
袷羽織に手を通し、最後に、庭の松の木を見あげて、悄然と門を出た。 京野等志は、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
す。 庭で蟋蟀の鳴くのが聞える。 蔦の葉の浴衣に、薄藍と鶯茶の、たて縞お召の
袷羽織が、しっとりと身たけに添って、紐はつつましく結んでいながら、撫肩を弱く辷っ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
が交って哄となると、件の仕舞屋の月影の格子戸の処に立っていた、浴衣の上へちょいと
袷羽織を引掛けた艶なのも吻々と遣る。実はこれなる御隠居の持物で。 鉄と謂われた....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
て、山の井さんが、呵々と笑ったとお思いなさい。」 光起は藍と紺、味噌漉縞一楽の
袷羽織、おなじ一楽の鼠と紺を、微塵織の一ツ小袖、ゆき短にきりりと着て、茶の献上博....
「秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
無理もないことである。とかくするあいだに空は再び晴れた。きのうまではフランネルに
袷羽織を着るほどであったが、晴れると俄にまた暑くなる。芭蕉翁は「木曾殿と背中あは....
「挿話」より 著者:徳田秋声
も産みやすかった。 季節が秋に入っていたので、夜の散歩には、どうかするとセルに
袷羽織を引っかけて出るほどで、道太はお客用の褞袍を借りて着たりしていたが、その日....
「春心」より 著者:田中貢太郎
中でも松葉杖をはなさなかった。松葉杖は傍にあった。広栄はセルの単に茶っぽい縦縞の
袷羽織を着て、体を猫背にして両脚を前へ投げだしていた。広栄は広巳の兄であった。 ....