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「装釘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

装釘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
そうだね」と宗近君は書物を見ずに、小野さんの眼鏡ばかり見ている。 「みんな新式な装釘《バインジング》だ。どうも」 「表紙だけ奇麗にして、内容の保険をつけた気なの....
もの思う葦」より 著者:太宰治
て来るわけではないか。 書簡集に用いるお金があったなら、作品集をいよいよ立派に装釘するがいい。発表されると予期しているような、また予期していないような、あやふ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
魅力を感じていた文学少女型の彼女のことなので、到頭出版されることになった処女作の装釘を頼んだのが機縁で、その作品に共鳴した山路の手紙を受け取ると、たちどころに吸....
光と風と夢」より 著者:中島敦
ダス社から言って来る。スコットの四十八巻のウェイヴァリ・ノヴルズと同じ様な赤色の装釘《そうてい》で、全二十巻、千部限定版とし、私の頭文字を透かし入りにした特別の....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
もアンドレーフもアナトール・フランスも皆跡もなく猛火の餌食となって了った。近代的装釘技術の標本として屡々人に示したクレーマー出版の『ウェルタール・ウント・メンシ....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
るような輪郭的な価値(夫は例えば目次に現われる)と物的効果に基く外部価値(例えば装釘とか組み方)との所有者だということである。と云うのは、この生産品に於ては、個....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
いで、ね。 ことしは思いがけず「春のある冬」の続篇が刊行されました。ごく簡素な装釘です。でも、内容の美しさはひとしおよ。近刊の続篇は「松の露」という、実に清楚....
盗まれた手紙」より 著者:佐々木直次郎
みんな非常に正確に厚さを測り、一つ一つ拡大鏡でうんと注意ぶかく調べました。最近に装釘に手をつけたものがあれば、眼にとまらないなんてことは絶対になかったはずです。....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
ような美しいコバルトがでないので、あんまりパッとしなかった。しかし、拝借したのは装釘の衣裳だけでシュルレアリズムにかぶれていたわけではなかった。 このマニフェ....
だいこん」より 著者:久生十蘭
いたな。それが遺書なの」 書置というから封筒に入った手紙だと思ったら、ちゃんと装釘がしてある。雲母《きらら》のように光る白銀色の押革を表紙にして、四つ隅と背に....
座右第一品」より 著者:上村松園
て、これはと思うものを縮図して居りました。それが集まったこの帳面なのです。立派に装釘された金目な参考資料などは、一、二度翻えして見ては居ましても記憶にも止まって....
「黒死館殺人事件」著者之序」より 著者:小栗虫太郎
に、本篇の上梓に際し、江戸川・甲賀の両氏から序文を賜わったことと、更に、松野氏の装釘に対する苦心――探偵小説としては、恐らく空前の豪華版であろうが――以上の三氏....
国会図書館の窓から」より 著者:中井正一
日射しの暖かい南向きの窓に、開くともなしに、美しい装釘の本をひもどく、といった、読書のよろこび、「閑」というこころもちの深い厳しさ....
書物の倫理」より 著者:三木清
おいても銘々がもっと創意を貴び合うようになってほしい。その本屋から出る本は内容|装釘《そうてい》共に全体としてきちんとした一定の特色が貫いているというのが好まし....
書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
からというけれど、この頃の洋書風のものでも、十年も書架に晒らせば、紙の色が変り、装釘の色も褪せて、しかも和本に於けるように雅致の生ずることもなく、その見すぼらし....