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裏を返す
「裏を返す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裏を返すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
っすん》に逃《のが》れる学士の亀であろう。亀は早晩首を出す。小野さんも今に封筒の
裏を返すに違ない。 良《やや》しばらく眺めていると今度は掌がむず痒《が》ゆくな....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
ず》と寂《さ》びたくすみ方に見惚《みと》れて、眼を放さずそれを眺めていたが、ふと
裏を返すと、私はこの画の中にあるような人間に生れたいとか何とか、当時の自分の情調....
「琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
思いながら、遂にその機がなくそのまゝ過ぎ去った。 或日一通の厚い封書が届いた。
裏を返すと差出人は松本であった。急いで封を切って読み下した私は、思わずあっ! と....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
が、そのうちに上封に見覚えのある太い字がいきなり眼についたので、ハッと思いながら
裏を返すと、松下一郎と云う四字が電光のように彼の眼を打った。彼は思わずその手紙を....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
りましょう」
と低く、低く、腰をかがめるのだった。
一八
雪之丞が、手の
裏を返すように、折れて出たのを見ると、三郎兵衛は、ニヤリと猫族に似た白い歯を現し....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
ろの方で、矢玉の雨宿をしていた、ぬくいのらしい。御覧なさい。 亀姫 (鉢金の輝く
裏を返す)ほんに、討死をした兜ではありませんね。 夫人 だから、およしなさいまし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ござんす、今日のこのお月様を」 お徳は砧の手を休めて、竜之助の方を向いて絹物の
裏を返す。 「せっかくなことで。月も花も入用《いりよう》のない身になったけれど、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
り見えない。 そもそも今夜、こうしてここへ、女の名を覚えていてやって来たのも、
裏を返すというような遊蕩気分に駆られて、やって来たわけではあるまい。すべてが闇黒....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に刑中の身を以て、観瀾亭から瑞巌寺《ずいがんじ》方面へ派遣されました。 これが
裏を返すと、すなわち、仙台の仏兵助《ほとけひょうすけ》と、青梅の裏宿七兵衛《うら....
「恩人」より 著者:豊島与志雄
朗らかな朝日の影が次第に移っていった。その時女中が一封の信書を彼の書斎に届けた。
裏を返すと彼の心は一瞬の間緊縮された。手紙は京都の若い叔父からであった。彼は暫く....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
裏がえしにするんです。私たちがねる前に『本日終業』の方をだしておきますから、その
裏を返すと『十一時開店』がでるのです。それから食事して、私たちの知らないうちに仕....
「真珠の首飾り」より 著者:神西清
まっていますの? 常ひごろ、あんなに尊重してらしたことを、なんだっていきなり手の
裏を返すようなことを仰しゃるの?」 「僕が尊重してたって、そりゃ一体なんのことだ....
「山吹」より 著者:泉鏡花
近頃は東京では、場末の縁日にも余り見掛けなくなりました。……これは静でしょうな。
裏を返すと弁慶が大長刀を持って威張っている。……その弁慶が、もう一つ変ると、赤い....
「正義」より 著者:浜尾四郎
い封書をもって来た。 静枝に送る手紙をひきかえに、女中に渡した彼は、その封書の
裏を返すと、そこには明かに清川純という三字がよまれた。 心をおどらしながら封を....
「はつ恋」より 著者:神西清
にじゃれついてきて、わたしを興奮させたり、うっとりさせたかと思うと、こんどは手の
裏を返すように、わたしを突っぱなして、彼女に近寄ることも、その顔を眺めることも、....