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裏町
「裏町〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裏町の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
、敵の手がかりを尋ねるのにも、何かと便宜が多そうであった。そこで彼等はまず神田の
裏町《うらまち》に仮の宿を定めてから甚太夫《じんだゆう》は怪しい謡《うたい》を唱....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
なって、別に苦にする顔色でもないが、腕を拱いた態で、夫人の一足後れに跟いて行く。
裏町の中程に懸ると、両側の家は、どれも火が消えたように寂寞して、空屋かと思えば、....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
泉』が、いつも花環を買う店は何処だと訊いて見たら、直ぐ機関庫の裏手附近の、H市の
裏町にある十方舎と呼ぶ葬具屋である事が判ったんだ。そしてしかもその店では、『貼菓....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
いに箸をつけず、スミ枝の方へ押してやった。 そこを出ると、房枝は、わざわざ暗い
裏町をえらぶようにして、ただ黙々としてあるきつづけるのであった。困ったのは、そば....
「獏鸚」より 著者:海野十三
4 桐花カスミは、ミス銀座といわれる美人売り子に、三原玲子の方は不良の情婦で、
裏町の小さいカフェに女給をしているというしがない役割で、一人の大学生をめぐって物....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
らい歩行く、門附の果敢い身の上。」 二十三 「名古屋の大須の観音の
裏町で、これも浮世に別れたらしい、三味線一|挺、古道具屋の店にあったを工面したの....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
事がない。それへ案内をせよ。太守は人麿の声を聞こうとしたのである。 しのびで、
裏町の軒へ寄ると、破屋を包む霧寒く、松韻|颯々として、白衣の巫女が口ずさんだ。 ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
このわたりは浅野川の河畔一帯の湿地なり。 園生は、一重の垣を隔てて、畑造りたる
裏町の明地に接し、李の木、ぐみの木、柿の木など、五六本の樹立あり。沓脱は大戸を明....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
からにょっきりと立て、一つは反対にのめり込ませ、でこぼこな醜態に変っているのだ。
裏町で一番広大で威張っている某|富豪の家の普請に運ぶ土砂のトラックの蹂躙の為めに....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
たのは、午後三時半頃。繁昌な処と申しながら、街道が一条海に添っておりますばかり、
裏町、横町などと、謂ってもないのであります、その町の半頃のと有る茶店へ、草臥れた....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
端には何の虫か一個唸を立ててはたと打着かってはまた羽音を響かす、蚊が居ないという
裏町、俗にお園小路と称える、遊廓桜木町の居まわりに在り、夜更けて門涼の団扇が招く....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
った。 いま巴里には町の唄うたいが三百人ばかりいる。彼等は時々サン・ドニの門の
裏町のキャフェに寄る。そこへははやり唄の作者や唄本の発行者も集って来て本の取引か....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
早く早くという帰朝の催促状をよこした。そしてところも加奈子の家から七八町ばかりの
裏町に家を借りて母親と住み出したらしい。アンリーは事情を承知して其の儘お京さんの....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
り、子供の玩具の風船をこしらえたりしていた。彼女はまだ三十そこそこらしく、都会の
裏町で育った多くの女性達のように色もなくやせて、口ばかりが達者だった。 村人は....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
一人、馬車新道へ入って来たことがあろう、それがお夏であった。 お夏は人形町通の
裏町から出て、その日、日本橋で鉄道馬車に乗って上野で下りたが、山下、坂本通は人足....