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裏表
「裏表〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裏表の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
出すように、こう言った。四角に空を切りぬいた窓の中には、枇杷《びわ》の木が、葉の
裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のないこずえにあつめている....
「或る女」より 著者:有島武郎
い道を教えてくれる人もなかった。たまたま大きな声で呼び留める人があるかと思えば、
裏表《うらおもて》の見えすいたぺてんにかけて、昔のままの女であらせようとするもの....
「二つの道」より 著者:有島武郎
た時、後代に捧ぐべき代表的傑作として、ハムレットを捕えたシェクスピアは、人の心の
裏表《うらおもて》を見知る詩人としての資格を立派に成就した人である。
一三
....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ラとルとで、今度はラを左へ横倒しにしてみると、丁度その二つが、紙に書いたルの字を
裏表から眺めた形になりましょう。これこそ、死蝋室の扉にある。帝釈天の硝子画ではな....
「鮨」より 著者:岡本かの子
の皿を置いた。 母親は、腕捲りして、薔薇いろの掌を差出して手品師のように、手の
裏表を返して子供に見せた。それからその手を言葉と共に調子づけて擦りながら云った。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
せると、寺僧らもおどろいて出て来た。彼らは半七の眼の前で、かの絵馬を取りおろして
裏表を丁寧にあらためたが、絵馬にはなんの異変もなく、当社伝来の物に相違ないと云っ....
「獄中記」より 著者:大杉栄
て食ってかかることすらあったが、この獄則を守る点では、先きにも言ったようにまるで
裏表のない、獄則そのものの権化と言ってもいいくらいだった。数年前の規則そのままに....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
金メダルがでてきた。ぴかぴか光るので彼はびっくりした。それを掌にのせて、いくども
裏表をひっくりかえして、見入った。 絹の焼け布片の方は、紙と共にこの男の手をは....
「金属人間」より 著者:海野十三
てください」 「これが、そうなのかい」 蜂矢は、その破片を手にとって、いくども
裏表をひっくりかえして見いった。この破片は、釜のごく一部分であるが、釜のつばもつ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ける。ははあ、夫婦二人のこの店、気の毒千万、御亭が出前持を兼ねると見えたり。 「
裏表とも気を注けるじゃ、可いか、可いか。ちょっと道寄りをして来るで、可いか、お方....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
立の下に、和仏英女学校というのの壁の色が、凩の吹く日も、暖かそうに霞んで見えて、
裏表、露地の処々から、三崎座の女芝居の景気|幟が、茜、浅黄、青く、白く、また曇っ....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
の建築より効果を出している。それが、日本の樹木の優雅なたたずまいや、葉の濃かさの
裏表に似つかわしく添って建っているのだ。 ――何処の国の都会の住宅地でもそうだ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
手を中へ差入れた、紙包を密と取って、その指が搦む、手と手を二人。 隔の襖は
裏表、両方の肩で圧されて、すらすらと三寸ばかり、暗き柳と、曇れる花、淋しく顔を見....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
ぱり加奈子をつけて来るのだ。 加奈子はショールの間から短い指の手を出して拡げて
裏表を見せてやる。すると顔を赭くして急に駆け出した。 お京さんが夫のアンリーの....
「縮図帖」より 著者:上村松園
のよいものを選んで綴じ合わせて用いた。近頃はうすい硫酸紙で描いているが、これだと
裏表両面の使用が可能で花など写生するのには便利がいい。 今の若い人たちは鉛筆で....