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裏返し
「裏返し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裏返しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
朝《ミンチョウ》ではっきり書いてある。葉子は片手でコーヒーをすすりながら、名刺を
裏返してその裏をながめた。そしてまっ白なその裏に何か長い文句でも書いであるかのよ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ない……それはあまりに残酷だ、残酷だ。なぜゆうべをさかいにして、世の中はかるたを
裏返したように変わっていてはくれなかったのだ。
この景色のどこに自分は身をおく....
「星座」より 著者:有島武郎
の胸のこだわりはどうしても晴れようとはしなかった。彼は鞭《むちう》つように罫紙を
裏返した。それは見るまに数字で埋まってしまった。また一枚を
裏返した。それもたちま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
農場の男は僕の客だというのでできるだけ丁寧にこういって、囲炉裏のそばの煎餅蒲団を
裏返した。 その男はちょっと頭で挨拶して囲炉裏の座にはいって来たが、天井の高い....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
もブランと宙に下っているし、床の間からは掛軸が外され、青銅製の釣鐘の置き物まで、
裏返しになっていた。――速水は僕の腕を握ると、力のない声で云った。 「この上、ど....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
と間髪を入れず、五十嵐の方が風船をフットボールから外すと、素早くお椀みたいなのを
裏返しにして、もう一度フットボールの上に載せる、すると反対の側の風船の肛門が出て....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
た。 「ははア。さては……」 伯爵は立って、画のそばに近づいた。それから額縁を
裏返しにして、急いで調べた。画を額縁にとめてあった釘がぬけていた。 「ふーン。や....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ればそれは怪異ではなかった。 「おお、――」 女の手首の皮が手袋をぬいだように
裏返しに指先から放れもやらずブラ下っているのであった。皮を剥ぎとられた部分は、鶏....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
がないで、熟としていさえすれば、何事もありません。動くと申して、別に倒に立って、
裏返しになるというんじゃないのですから、」 「いかにも、まともにそれじゃ、人間が....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
っている反対の方をむいて葉書を顔で覆うようにして男の居所と名前を手早く書きつけて
裏返した。何を書こう? 何にも書けない。彼女の目からは熱い涙が溢れ出た。 「よう....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
。 「一ツ詮索をして帰ろう、と居坐ったがね、……気にしなさんな。別にお前の身体を
裏返しにして、綺麗に洗いだてをしようと云うんじゃねえ。可いから、」 と云う中に....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
はない。 が、おかしな売方、一頭々々を、あの鰭の黄ばんだ、黒斑なのを、ずぼんと
裏返しに、どろりと脂ぎって、ぬらぬらと白い腹を仰向けて並べて置く。 もしただ二....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
。皿に載せた一片の肉はほんのりと赤い所どころに白い脂肪を交えている。が、ちょっと
裏返して見ると、鳥膚になった頬の皮はもじゃもじゃした揉み上げを残している。――と....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の下を潜らすと、脱いだ羽織を前へ廻して、臆面もなく、あなた方の鼎に坐った真中で、
裏返しにしてふわりと拡げた。言語道断、腕まくりで膝を立て、 「借もんだからね、皺....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
織んなさいまし、気味が悪いことはございません、仕立ましたばかりでございます。」と
裏返しか、新調か、知らず筋糸のついたままなる、結城の棒縞の寝ね子半纏。被せられる....