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裏長屋
「裏長屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裏長屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「家霊」より 著者:岡本かの子
には始終、補いのつく食いものを摂らねば業が続かん。そのほかにも、うらぶれて、この
裏長屋に住み付いてから二十年あまり、鰥夫《やもめ》暮しのどんな佗《わび》しいとき....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。この上は、早く敵機に、めぐり逢いたいであります」 小さいけれど、彼の懐しい
裏長屋は、影すら見えなかった。そこには、用務員をしている父|亀之助と、年老いた祖....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
町に、中村万松堂という本屋があった。そこの小僧だか番頭だかが、新発田に来て、ある
裏長屋のようなところに住んでいた。それをどうして知ったのか、僕がたぶんほとんど最....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
にはほとんど縁のないもので、いわゆる裏店に於いてのみそれを見るようであるが、その
裏長屋の古い軒先に吊るされて、苔の生えそうな古い鮑の貝から長い蔓は垂れ、白い花は....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
う……天気が可いとなお食べたい。空腹を抱いて、げっそりと落込むように、溝の減った
裏長屋の格子戸を開けた処へ、突当りの妾宅の柳の下から、ぞろぞろと長閑そうに三人出....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
羽にかわって欄間を飛ぶだろうと思ったほどです。いいえ、天人なぞと、そんな贅沢な。
裏長屋ですもの、くさばかげろうの幽霊です。 その手拭が、娘時分に、踊のお温習に....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
て、ぜひ私をその家に連れてゆこうといい出しました。当時Yは、浅草の田中町の小さな
裏長屋に、始終彼の啓発者であったMさんといっしょに住んでいました。私は半ば好奇心....
「女客」より 著者:泉鏡花
ういうわけだか、恐しく蚊が酷い。まだその騒ぎの無い内、当地で、本郷のね、春木町の
裏長屋を借りて、夥間と自炊をしたことがありましたっけが、その時も前の年火事があっ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、上下に、調子を取って、声を揉出す。 佐内坂の崖下、大溝通りを折込んだ細路地の
裏長屋、棟割で四軒だちの尖端で……崖うらの畝々坂が引窓から雪頽れ込みそうな掘立一....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
芝居の、つけを打つのが合間に聞え、囃の音がシャラシャラと路地裏の大溝へ響く。……
裏長屋のかみさんが、三河島の菜漬を目笊で買いに出るにはまだ早い。そういえば裁縫の....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
増だという、祖父の繰廻しで、わずか残った手廻の道具を売って動をつけて、その俵町の
裏長屋へ越して、祖父は着馴れぬ半纏被に身を窶して、孫の手を引きながら佐竹ヶ原から....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
奥の方に手をついた。 「どういたしまして、ええ、水をって申しますと、平時のとおり
裏長屋の婆さんが汲込んで行ったと仰有るんで、へい、もう根っから役に立ちません。」....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
いますが、すぐに祝酒だ、とぬかしゃあがって。店をあけたまま、見通しの六畳一間で、
裏長屋の総井戸をその鍋釜一ツかけない乾いた台所から見晴しながら、箒を畳へ横ッ倒し....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
い懸けず……それがまた十何年ぶりかで、ふと出会った旧い知己で、つい近所だから、と
裏長屋へ連込まれた……間淵がそれだ。――いやそれなんです―― 足の短い、胴づま....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、日蔭を明神坂の方へ、急ぎ足に歩み行く後姿はその者なれば、遠く離れて見失わじと、
裏長屋の近道を潜りて、間近く彼奴の後に出でつ。まずこれで可しと汗を容れて心静かに....