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裘
「裘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
で、噂に聞く天狗の翼だか、それとも天竺《てんじく》にあると云う火鼠《ひねずみ》の
裘《けごろも》だかわかりません。――
この容子を見た私どもは、云わず語らず両方....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
では何でも云いつけて下さい。あなたの欲しいものは何ですか? 火鼠《ひねずみ》の
裘《かわごろも》ですか、蓬莱《ほうらい》の玉の枝ですか、それとも燕《つばめ》の子....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
る太陽。おお、私の太陽。私はだらしのない愛情のように太陽が癪《しゃく》に触った。
裘《けごろも》のようなものは、反対に、緊迫衣《ストレート・ジヤケツト》のように私....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
にもう堪えられなくなって、終には手きびしくそれを拒絶すると、長平はいよいよ羊の皮
裘をぬいで狼の本性をあらわした。彼は甥の河童をそそのかして親のかたきを討たせたの....
「富貴発跡司志」より 著者:田中貢太郎
ねているところだと思って、その前へ跪いた。 「私は四十五になりますが、寒い時には
裘を一枚着、暑い時には葛衣を一枚着、そして、朝と晩には、粥をいっぱいずつ食べて、....
「虎媛」より 著者:田中貢太郎
とした。そこで、莫大な金を出して、王鼎と冬貂を買い入れたが、買った晩に鼎が破れ、
裘が焼けてしまった。窈娘はそれを珊珊の仕業だと言った。焦生は狂人のようにして杖で....
「西湖主」より 著者:田中貢太郎
ろうと心配していたが、それから半年ばかりして陳が不意に帰ってきた。肥えた馬、軽い
裘、ひどく立派な旅装をしていたが、嚢中には宝玉がみちていた。 陳の家はそれがた....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
れし軍夫は、分捕りなるべし、紫|緞子の美々しき胴衣を着たり。 「源公を見ねえ。狐
裘の四百両もするてえやつを着てやがるぜ」 「源か。やつくれえばかに運の強えやつア....
「李陵」より 著者:中島敦
ゅうさくしゅ》。着物は狼《おおかみ》や羊や熊《くま》の皮を綴《つづ》り合わせた旃
裘《せんきゅう》。牧畜と狩猟と寇掠《こうりゃく》と、このほかに彼らの生活はない。....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
てください。そのお礼にはこれを差し上げます」 少年はふくろを解いて、見ごとな毛
裘をとり出した。それは貂の皮で作られたもので、金や珠の頸かざりが燦然として輝いて....
「盈虚」より 著者:中島敦
《こんりょうふ》はもともと小姓上りとて派手好みの伊達男である。此の日彼は紫衣に狐
裘《こきゅう》を重ね、牡馬二頭立の豪奢な車を駆って宴に赴いた。自由な無礼講のこと....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
狸は支那の代表的料理の主役を勤め、第一その肉は人の肺気を強くし、脾胃を補い、皮は
裘を製し、骨は邪気を除くと本草に見えている。さらに狸は冬月に極肥し、山珍の主なり....
「西瓜」より 著者:永井荷風
わたくしは年まさに強仕《きょうし》に達しようとしていた。それより今日に至るまで葛
裘《かっきゅう》を変《かえ》ること二十たびである。この間にわたくしは西洋に移り住....
「向嶋」より 著者:永井荷風
ニ映ズルハ※駝《たくだ》ノ芍薬《しゃくやく》ヲ売ルナリ。満園ノ奇香微風ニ動クハ菟
裘《ときゅう》ノ薔薇ヲ栽《うう》ルナリ。ソノ清幽ノ情景|幾《ほと》ンド画図モ描ク....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
いる。
またと類のないこの珍品を
大骨董家に獲させたいものだ。
そこにはあの古い
裘までが古い鉤に懸けてある。
あれを見るとあの時のいたずらを思い出す。
子供の時....