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補綴
「補綴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
補綴の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「癩」より 著者:島木健作
の眼は腫れふさがって細く小さくなっていた。色の褪《あ》せた囚衣の肩に、いくつにも
補綴《つぎ》があててあり、大きな足が尻の切れた草履からはみ出している姿が、みじめ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
った。筋は無論、翁から割当てられたもので、自分たち二人はほとんどその口授のままを
補綴したに過ぎなかった。劇場は後の宮戸座であった。 それが三月の舞台に上ったの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
さんがおっしゃいました」 「そんなことがあるものですか」 信仰者が、逆らわずに
補綴《ほてい》を加えようとするのを、懐疑者は立ちどころにハネ飛ばして、 「そんな....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
た。彼は古びた船の帆布と古びた船布とで拵えた襤褸着物を着ていた。そしてこの異様な
補綴細工は、真鍮のボタンだの、木片だの、タールまみれの括帆索の紐輪だのという、実....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
ちの生活に親しむのが主旨であったが、後には、昔そこにいた少年少女たちの生活記録の
補綴が主な仕事となった。ところで、親しく談話を交えたり、真裸で河水のなかで共に遊....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
膝には穴があいている。ぼろぼろな灰色の上衣には、撚《よ》り糸で縫われた青ラシャの
補綴《はぎ》が一方の肱《ひじ》の所にあたっている。背中にはいっぱい物のはいった、....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
せて、色青く、小柄で、顔には雀斑《そばかす》があり、穴のあいた仕事服を着、両横に
補綴《つぎ》のあたってるビロードのズボンをはき、男というよりもむしろ男に変装して....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
潔な白い布が掛けてあった。 クランチャー君は、寛いでいるハーリクィンのように、
補綴だらけの掛蒲団をかぶって寐ていた★。最初は、ぐっすりと眠っていたが、だんだん....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
切り崩されたのである。新開場の狂言は黙阿弥作の「黄門記童幼講釈」を福地桜痴居士が
補綴した物で、名題は「俗説美談黄門記」と据えられた。そのほかに大切浄瑠璃として「....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
びか洗い濯がれたるためそれとしも見えず、襟の記印の字さえ朧げとなりし絆纏を着て、
補綴のあたりし古股引をはきたる男の、髪は塵埃に塗れて白け、面は日に焼けて品格なき....
「文明教育論」より 著者:福沢諭吉
農民の婦女子に横文の素読を教えて何の益をなすべきや。嫁しては主夫の襤褸《ぼろ》を
補綴《ほてい》する貧寒女子へ英の読本を教えて後世何の益あるべきや。いたずらに虚飾....
「澪標」より 著者:外村繁
しく、再入院はいつともなく沙汰止みになっている。 漸く義歯を入れることになる。
補綴科へ廻る。義歯は数日で出来上った。 七月、私と貞子とは札幌へ行き、長男の結....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
感ずる。旅は読書と同じく他人の経験を聴き、出来るだけ多くの想像を以て、その空隙を
補綴しなければならぬ。自分の如き代々の村人の末でも、ほんの僅かな間の学問生活によ....