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「裸火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

裸火の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
く頂戴《ちょうだい》しようかねえ――」 と、茶碗を受けて、なみなみと注がせて、裸火の光りに透かすようにして見たが、 「ほんに、いい臭いだこと――いただきますよ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
渡る見物は、大河の水を堰いたよう、見渡す限り列のある間、――一尺ごとに百目蝋燭、裸火を煽らし立てた、黒塗に台附の柵の堤を築いて、両方へ押分けたれば、練もののみが....
話の種」より 著者:寺田寅彦
る。それほどに強くない光でも永い間には案外の害を及ぼすから、灯光などでもなるべく裸火を廃して磨硝子の玉ボヤのようなものをかけた方がよい。近頃の話だが、米国のある....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
坑とも同じようにやはりウォルフ安全燈であった。ウォルフ安全燈というのは、みだりに裸火にされる危険を避けるために、竪坑の入口の見張所の番人の持っている磁石に依らな....
式部小路」より 著者:泉鏡花
したんですとさ。 そら、食いねえは可いが、燈は点けたそうですけれど、火屋なしの裸火。むんむと瓦斯のあがるやつを、店から引摺って来た、毛だらけの椅子の上へ。達引....
すみだ川」より 著者:永井荷風
へでも下りたような心持。後《うしろ》の隅々《すみずみ》についている瓦斯《ガス》の裸火《はだかび》の光は一ぱいに詰《つま》っている見物人の頭に遮《さえぎ》られて非....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
っきの二人が、ここへ入り込んでいた。 「やいッ」という声は仲間の宅助。 蝋燭の裸火を前に置いて、 「これほど俺や啓之助様が、ことを分けての親切なのに、いい加減....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
の男が、バタバタとそのあたりを駈け廻っていたが、お堂の西側にしゃがみ込んで、蝋の裸火に顔を集めている三人の人影を見つけると、 「孫兵衛様で……」と身をかがめた。....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
部屋の隅に、妖魅めいた光を放って――。 召使でも置き忘れたものか、交い棚の端に裸火の手燭が一つ、ゆら、ゆら、と明滅の息をついている。 家具や調度の物のあんば....