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裾
「裾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
婆さんの前にもメリヤス類。毛糸の編みものも交《まじ》っていないことはない。行火の
裾《すそ》には黒猫が一匹時々前足を嘗《な》めている。
43....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ぐるま》が、静かに太郎の行く手を通りすぎる。車の中の人は見えないが、紅《べに》の
裾濃《すそご》に染めた、すずしの下簾《したすだれ》が、町すじの荒涼としているだけ....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ろはぶたえ》の足袋が現れました。続いて仄《ほの》かな波の空に松と鶴とが霞んでいる
裾模様が見えました。それから錦襴《きんらん》の帯、はこせこの銀鎖、白襟と順を追っ....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
なる御仕度をなすって下さいまし。」
こう髪長彦が云いますと、三匹の犬も御姫様の
裾や袖を啣《くわ》えながら、
「さあ早く、御仕度をなすって下さいまし。わん、わん....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
坐られたまま、答えさえせらるる気色《けしき》はない。と思えば紅《くれない》の袴の
裾に、何やら蠢《うごめ》いているものの姿が見えた。それが袴の
裾ばかりか、よう見る....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
ある春の夕《ゆうべ》、Padre Organtino はたった一人、長いアビト(法衣《ほうえ》)の
裾《すそ》を引きながら、南蛮寺《なんばんじ》の庭を歩いていた。
庭には松や檜《....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
がった。食事の時にも膳《ぜん》の側には、必ず犬が控えていた。夜はまた彼女の夜着の
裾に、まろまろ寝ている犬を見るのが、文字通り毎夜の事だった。
「その時分から私は....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ら、妙に無愛想《ぶあいそう》な会釈《えしゃく》を返した。それから蒲団《ふとん》の
裾《すそ》をまわって、母の顔がよく見える方へ坐った。
お律は眼をつぶっていた。....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
声ばかりきこえる。暗黒。
Aの声 暗いな。
Bの声 もう少しで君のマントルの
裾をふむ所だった。
Aの声 ふきあげの音がしているぜ。
Bの声 うん。もう露台の....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
は引地川《ひきじがわ》の岸に沿わずに低い砂山を越えて行った。砂山は砂止めの笹垣の
裾《すそ》にやはり低い松を黄ばませていた。O君はそこを通る時に「どっこいしょ」と....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
かった。牛馬の遊んでいる草原《くさはら》は一面に仄《ほの》かな緑をなすって、その
裾《すそ》を流れて行く天《あめ》の安河《やすかわ》の水の光も、いつか何となく人懐....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
い御姿《おすがた》だったのです。それが静かな潮風《しおかぜ》に、法衣《ころも》の
裾を吹かせながら、浪打際《なみうちぎわ》を独り御出でになる、――見れば御手《おて....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
足を運んでいたのだった。
浜伝《はまづた》いにS村へ出る途《みち》は高い砂山の
裾《すそ》をまわり、ちょうど海水浴区域とは反対の方角に向っていた。海は勿論砂山に....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
司らしい気がし出した。 それから又島木さんは後ろ向きに坐ったまま、ワイシャツの
裾をまくり上げ、医学博士の斎藤さんに神経痛の注射をして貰った。(島木さんは背広を....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
織りの帽子は額があまり狭いので鼻の上に乗っているように見えた。そして、黒い上衣の
裾はぱたぱたして、馬の尻尾にとどきそうだった。そのような恰好でイカバッドと彼の馬....