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裾野
「裾野〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裾野の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:梶井基次郎
《すりばち》を伏せたような形」だとかあまり富士の形ばかりを見過ぎている。あの広い
裾野を持ち、あの高さを持った富士の容積、高まりが想像でき、その実感が持てるように....
「富士」より 著者:岡本かの子
来さしめぬよう心懸けて呉れるのがほんとの親子の情だといった。 山の祖神は、山の
裾野へさしかかって四日目にもう一日歩いて、たそがれ、かがり火を認めてたずね寄った....
「みちのく」より 著者:岡本かの子
《ふ》き抜《ぬ》けるので熱気の割合に涼しかった。果樹園や畑の見えるだらだら下りの
裾野平《すそのだいら》の果《はて》に、小唄《こうた》で名高いY――山の山裾が見え....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と小首を傾けたが、腕組をした、肩が聳えて、主税は大跨に後に続いた。 窓の外は、
裾野の紫雲英、高嶺の雪、富士|皓く、雨紫なり。 五 聞けば、夫人....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
一 富士山の北麓、吉田町から南へ一里の
裾野の山中に、誰れが建てたのか一軒のものさびた別荘風の館がある。その名を、岳陰荘....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
う。宮の森を黒髪にして、ちょうど水脈の血に揺らぐのが真白な胸に当るんですね、裳は
裾野をかけて、うつくしく雪に捌けましょう。―― 椿が一輪、冷くて、燃えるような....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
そうだけれど、差引一ぱいに行けば、家族が、一夏避暑をする儲けがある。梅水は富士の
裾野――御殿場へ出張した。 そこへ、お誓が手伝いに出向いたと聞いて、がっかりし....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
たのでもなければ、意を通ずるほどの事さえも果さないうちに、昨年の夏、梅水が富士の
裾野へ暑中の出店をして、避暑かたがた、お誓がその店を預ったのを知っただけで、この....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
下、左右すれ違うとサワサワと音がします。青空、青山、正面の雪の富士山の雲の下まで
裾野を蔽うといいます紫雲英のように、いっぱいです。赤蜻蛉に乗せられて、車が浮いて....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
樹がなくなって、山がすぐ露出しに見えるから、かえって田舎になった気がする、富士の
裾野に煙突があるように。 向うの家も、どこへ行きなすったかね、」 と調子が沈....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
は太く濁って、皹入りの竹法螺を吹くに似通った。 北国街道から西に入った黒姫山の
裾野の中、雑木は時しもの新緑に、午過ぎの強烈な日の光を避けて、四辺は薄暗くなって....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
フスキーの『罪と罰』であった。この『罪と罰』を読んだのは明治二十二年の夏、富士の
裾野の或る旅宿に逗留していた時、行李に携えたこの一冊を再三再四反覆して初めて露西....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
に投じた。丁度三時半。 二階から富士が見える。やはり形が悪い。富士の美しいのは
裾野が展いているからだ。裾を隠して頂だけでは、尖端鋭き金峰山などの方が遥かに美し....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
と、富士を眺めた。寺は東海道原駅に在った。駅から富士は直ぐ眼の前に見える。富士の
裾野は眼で視ただけでは両手を拡げる幅にも余った。その幅も、眺めるうちにだんだん失....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
ったもので、自殺か、過失死か不明である。同列車の車掌伊藤春吉君は語る。 「列車が
裾野駅近くを通過している際デッキに立っていた外国帰りらしい美しい夫人が『電報を打....