褪紅[語句情報] »
褪紅
「褪紅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
褪紅の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年」より 著者:芥川竜之介
すると乗客の降り終るが早いか、十一二の少女が一人、まっ先に自働車へはいって来た。
褪紅色《たいこうしょく》の洋服に空色の帽子《ぼうし》を阿弥陀《あみだ》にかぶった....
「街底の熔鉱炉」より 著者:佐左木俊郎
世なんだもの。」 真面目《まじめ》な顔で小母さんは造花を咲かせ続けた。紫の花。
褪紅色《たいこうしょく》の蕾。緑の葉。緋《ひ》の花。――クレエム・ペエパァの安っ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
山川の明るい淵の練った様な緑玉、盛り上り揺り下ぐる岩蔭の波の下に咲く海アネモネの
褪紅、緋天鵞絨を欺く緋薔薇緋芥子の緋紅、北風吹きまくる霜枯の野の狐色、春の伶人の....
「スポールティフな娼婦」より 著者:吉行エイスケ
好きだ。」 と、彼女は云うと猛然と私におどりかかって、銀色の唾液のなかで二枚の
褪紅色の破片が格闘をはじめた。暫らく波の音が水上の音楽を私達にもたらした。 天....
「翔び去る印象」より 著者:宮本百合子
。日向に出ると穏やかに暖かで、白い砂利路の左に色づいたメイプルの葉が、ぱっとした
褪紅色に燃えていた。空気は極軽く清らかで威厳に満ちているので、品のよい華やかな色....
「農村」より 著者:宮本百合子
様なのを見せて呉れと云った。番頭は早口に遠慮なく出させる私を、変な顔をして見た。
褪紅色の地に大きな乱菊を出したのと、鶯茶の様な色へ暖い色の細かい模様を入れたのを....
「通り雨」より 著者:宮本百合子
が一本ある。 気がつかないで居て今日見るとめっきり色附《いろづ》いて、品の好い
褪紅色になって槇の隣りにとびぬけた美くしさで輝いて居る。 今畳屋が入って居るの....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
最近の事である。僕が始めて豊島与志雄と云う名を知ったのは、一高の校友会雑誌に、「
褪紅色の珠」と云う小品が出た時だろう。それがどう云う訳か、僕の記憶には「登志雄」....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
が手《て》コップの中で湯気《ゆげ》をあげている。コッフェルの蓋《ふた》には、薄い
褪紅色《たいこうしょく》の木の実のようなものが山盛りになっている。……スープから....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
だいじょうぶで?」 「馬は好きです。田舎にいた頃から、野馬に馴れておりますから」
褪紅色の被衣が、駒のうえに自然な姿で揺られて行った。 被衣は、都会ではもう旧い....