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褫
「褫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
褫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
らしい目をすえて、じっと見つめていたが、忽《たちま》ち床から乗出して、その手紙を
褫奪《ひったく》ろうとした。
「おい、戯談《じょうだん》じゃないぜ」
鶴さんは....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
諸氏である。しかし、幕府内でも最も強硬な主戦派の頭目として聞こえた小栗上野の職を
褫いで謹慎を命じたほどの堅い決意が慶喜になかったとしたら。当時、「彼を殺せ」とは....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
たちに思うような心を養われて来ている。お粂は性来の感じやすさから、父が戸長の職を
褫がれ青ざめた顔をして木曾福島から家に帰って来た時なぞも、彼女の小さな胸を傷めた....
「続黄梁」より 著者:田中貢太郎
ると、やがて数十人の剣を帯び戈を操った武士が来て、そのまま内寝へ入って曾の衣冠を
褫いで、妻といっしょに縛った。みるみるうちに数人の人夫が財宝を庭に出しはじめた。....
「縮図」より 著者:徳田秋声
以上、体はどうも仕方がない、汚れた体にも純潔な精神的貞操が宿り、金の力でもそれを
褫うことはできないのだと。それも自分でそう信じていればいいので、口へ出すべきこと....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
来なかった。明日は明日はと思いながら、つい延引になってしまった。頭脳が三方四方へ
褫られているようで、この一月ばかりの新吉の胸の悩ましさというものは、口にも辞にも....
「足迹」より 著者:徳田秋声
」と、お庄は机の端に両肱をついて目を※っていたが、いきなり手を伸ばして巻紙を引っ
褫った。 「何大丈夫だよ。どうしているかちょっと訊いて見るだけだ。」磯野はお庄を....
「黴」より 著者:徳田秋声
舎のある肥料問屋の子息であった書生を、その叔父の妻君であった年増の女が、横間から
褫って行ったのだというようなことも、解って来た。 「あの女のことなら、僕も聞いて....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
は無いぞ」ト口で言わんでも行為《ぎょうい》で見付《みせつ》けて、昇の胆《たん》を
褫《うば》ッて、叔母の睡《ねぶり》を覚まして、若し愛想を尽かしているならばお勢の....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
正しい武家の女性たちは、拷問の笞、火水の責にも、断じて口を開かない時、ただ、衣を
褫う、肌着を剥ぐ、裸体にするというとともに、直ちに罪に落ちたというんだ。――そこ....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
自分が特権階級にはいって見れば、なるほど気持の悪いこともないが、その代りに特権
褫奪という恐れが始終頭に浮ぶ。紳士閥が、軍隊だとか、警察だとか、法律だとかを、五....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
ん》の訴えを起さしめ、かくして彼の一身《いっしん》を縛《しば》り、また公権をさえ
褫奪《ちだつ》して彼をして官途に就《つ》く能《あた》わざらしめ、結局|落魄《らく....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
今これを矯正する必要を認める。そこで私は今後この種から間違っているイヌタデの名を
褫奪《ちだつ》して、これを本来の正しい名のハナタデに還元させることに躊躇しない。....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
。川島は満洲朝の滅亡と共に雄図|蹉※し、近くは直隷軍の惨敗の結果が宣統帝の尊号|
褫奪宮城明渡しとなって、時事日に非なりの感に堪えないで腕を扼しているだろうが、依....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
値するほど重大なるものなり。卿等いまだ彼を死をもって罰せずば、よろしく彼の職権を
褫奪して、彼を軟禁し、後の命を待つべし。もし卿にしてこの命に従わざるときは、卿を....