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襖
「襖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
襖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
鈴はこの田舎訛りにいつか彼女の心もちも或気安さを持ち出したのを感じた。同時に又|
襖《ふすま》一重向うに咳《せき》一つしずにいる母のお鳥に何か漠然とした不安も感じ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
彼はちょいと、失望に似た感じを味わった。そうしてしかたなく、玄関の隣にある書斎の
襖《ふすま》を開けた。
開けてみると、そこには、色の白い、顔のてらてら光ってい....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
起臥《きが》していた書院造りの八畳は、日当りこそ悪い憾《うらみ》はあったが、障子
襖《しょうじふすま》もほどよく寂びのついた、いかにも落着きのある座敷だった。私の....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
来た仲間が、どんな風流を楽しんでいるか?――そんな事に心が惹《ひ》かれたのです。
襖《ふすま》の外に身を寄せるが早いか、わたしの耳には思った通り、釜《かま》のたぎ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
はいつまでも、その景気を保っていられなかった。犬は彼等が床《とこ》へはいると、古
襖《ふるぶすま》一重《ひとえ》隔てた向うに、何度も悲しそうな声を立てた。のみなら....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
殿中《でんちゅう》の一間で煙草をくゆらせていると、西王母《せいおうぼ》を描いた金
襖《きんぶすま》が、静に開《あ》いて、黒手《くろで》の黄八丈《きはちじょう》に、....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
》なさるのはその好《よ》い証拠ではございませぬか?」
家康は花鳥《かちょう》の
襖越《ふすまご》しに正純の言葉を聞いた後《のち》、もちろん二度と直之の首を実検し....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ろがかれこれ一時間ばかりすると、茂作の介抱をしていた年輩の女中が、そっと次の間の
襖《ふすま》を開けて、「御嬢様ちょいと御隠居様を御起し下さいまし。」と、慌《あわ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
顧《かえりみ》て、「伝右衛門殿をよんで来ましょう。」とか何とか云うと、早速隔ての
襖《ふすま》をあけて、気軽く下の間へ出向いて行った。そうして、ほどなく、見た所か....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ていたんだよ。」
洋一は長火鉢の向うに、いやいや落着かない膝《ひざ》を据えた。
襖《ふすま》一つ隔てた向うには、大病の母が横になっている。――そう云う意識がいつ....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
くこびりついているのが見える。下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の
襖《あお》の尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰《にきび》を気にしながら、ぼん....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
紙をかけた「大久保武蔵鐙《おおくぼむさしあぶみ》」を読んでいました。するとそこへ
襖《ふすま》をあけていきなり顔を出したのは下の部屋にいるM子さんです。僕はちょっ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
空へ眼をやってしまった。そのほかは、勿論、唖《おし》のように口をつぐんで、じっと
襖障子《ふすましょうじ》を見つめている。顔には、何の感情も浮んでいない。
所が....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
うでしたが、もう一度新蔵が虹のような酒気を吐いて、「御取次。」と云おうとすると、
襖《ふすま》を隔てた次の間から、まるで蟇《がま》が呟《つぶや》くように、「どなた....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
雇いしものならんと人も疑わざりしを、深沢が見咎めて糺せば詞窮して担いかけし障子|
襖を其所へ捨て逃げ去りしなりというに、東京という所の凄じさ、白昼といい人家稠密と....