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襟
「襟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
襟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
の間を通りしなにもう一度「お芳さんが」と声をかけた。お鳥は横になったまま、夜着の
襟に口もとを埋めていた。が、彼女を見上げると、目だけに微笑に近いものを浮かべ、「....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
み》へ落した。突然こんな話を聞かされた私も、いよいよ広い座敷の春寒《はるさむ》が
襟元まで押寄せたような心もちがして、「成程《なるほど》」と云う元気さえ起らなかっ....
「影」より 著者:芥川竜之介
の捲《ま》き毛、かすかな頬紅《ほおべに》、それから地味な青磁色《せいじいろ》の半
襟。――
陳は麦酒《ビール》を飲み干すと、徐《おもむろ》に大きな体を起して、帳....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
みうら》はいつもナポレオン一世の下に陣取りながら、結城揃《ゆうきぞろ》いか何かの
襟を重ねて、ユウゴオのオリアンタアルでも読んで居ようと云うのですから、いよいよあ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
いても、川一つ隔てた藪や林は、心細い響を立て易かった。お蓮は酒臭い夜着《よぎ》の
襟に、冷たい頬《ほお》を埋《うず》めながら、じっとその響に聞き入っていた。こうし....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
ました」妻はそう答えた後《のち》、箪笥《たんす》の上の鏡を覗《のぞ》き、ちょいと
襟もとを掻《か》き合せた。自分は彼等を見送らずに、もう一度二階へ引き返した。
....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
りながら、今日は湿布《しっぷ》を巻いていない、綺麗《きれい》な丸髷《まるまげ》の
襟足をこちらへまともに露《あらわ》していた。
「そりゃおれだって忘れるもんかな。....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
大事ならば、偶像に祈るのはおやめなさい。」
しかし女は古帷子《ふるかたびら》の
襟を心もち顋《あご》に抑《おさ》えたなり、驚いたように神父を見ている。神父の怒《....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
やにやほほ笑みながら、その間に相手の身のまわりを注意深く観察した。老紳士は低い折
襟に、黒いネクタイをして、所々すりきれたチョッキの胸に太い時計の銀鎖《ぎんぐさり....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
りもひどくなって、肩をすぼめて歩いていると、鼻の先からは、滴《しずく》が垂れる。
襟からは、水がはいる。途方に暮れていた際だから、李は、廟を見ると、慌てて、その軒....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
く輝いていたではないか。
「待て。」
彼は咄嗟《とっさ》に腕を伸ばすと、若者の
襟《えり》をしっかり掴《つか》んだ。
「何をする。」
若者は思わずよろめきなが....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
れぼう》をかぶった客が一人、ぬっと暖簾《のれん》をくぐって来た。客は外套の毛皮の
襟《えり》に肥った頬《ほお》を埋《うず》めながら、見ると云うよりは、睨《にら》む....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
らったようです。が、忽ち勇気をとり直すと、片手にナイフを握りながら、片手に妙子の
襟髪を掴んで、ずるずる手もとへ引き寄せました。 「この阿魔め。まだ剛情を張る気だ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
「御注意有り難し」と述べて左右に別れたれど予はなお橋の上を去りやらず。この応答に
襟懐俗了せしを憾みたり。巡査はまた一かえりして予が未だ涼み居るを瞥視して過ぎたり....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
この世でもっていた財産を全部いれてあるつつみを調べた。彼の財産は、シャツ二枚半、
襟巻き二本、毛糸の靴下が一、二足、コールテンの古半ズボン一着、銹びたかみそり一|....