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「襟垢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

襟垢の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
などは奇怪でありました。古い達磨《だるま》の軸物、銀|鍍金《メッキ》の時計の鎖、襟垢《えりあか》の着いた女の半纏《はんてん》、玩具の汽車、蚊帳《かや》、ペンキ絵....
業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
たのが又|毀《こわ》れましたから鬢《びん》の毛が顔にかゝり、湯にも入らぬと見えて襟垢《えりあか》だらけで、素袷《すあわせ》一つに結《むすび》っ玉の幾つもある細帯....
旧主人」より 著者:島崎藤村
縞《しま》の着古しに毛繻子《けじゅす》の襟《えり》を掛けて、半纏《はんてん》には襟垢《えりあか》の附くのを気にし、帯は撫廻し、豆腐買に出るにも小風呂敷を被《か》....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
装である。 古いありふれたところでは、足袋《たび》と下駄《げた》が新しいとか、襟垢《えりあか》がついてないとかいうのであるが、前にも云ったようにこの頃の服装は....
婦系図」より 著者:泉鏡花
たが、さまで容子の賤しくない落魄らしい、五十|近の男の……肺病とは一目で分る……襟垢がぴかぴかした、閉糸の断れた、寝ン寝子を今時分。 藁草履を引摺って、勢の無....
田舎教師」より 著者:田山花袋
して通って行った。 来る時には、路傍のこけら葺の汚ないだるま屋の二階の屋根に、襟垢のついた蒲団が昼の日ののどかな光に干されて、下では蒼白い顔をした女がせっせと....
」より 著者:徳田秋声
が湯に中って蒼い顔をして一トまず大阪の兄のところへ引き揚げて来たとき、留守の間に襟垢のこびりついた小袖や、袖口の切れかかった襦袢などをきちんと仕立て直しておいて....
三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
旅の、客引女らしいのが立っているのを見ると、侍らしくなって歩き出した。 少し、襟垢がついていて、旅疲れを思わせる着物であるが、平島羽二重《ひらしまはぶたえ》の....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
ではない。重箱を持参で茣蓙に毛氈を敷くのだから、いずれも身ぎれいに装った。中に、襟垢のついた見すぼらしい、母のない児の手を、娘さん――そのひとは、厭わしげもなく....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
お米の横顔の処を嗅ぎ出したのでございますと。 もうもう五宿の女郎の、油、白粉、襟垢の香まで嗅いで嗅いで嗅ぎためて、ものの匂で重量がついているのでございますもの....
」より 著者:豊島与志雄
掃除を初めていたが、田舎の女がするように、着物の後ろ襟にハンケチをさしはさんで、襟垢を防いでいた。それが彼女によく似合っていた。発見者は喜んだ。伝え聞いた一同も....
女客一週間」より 著者:豊島与志雄
たより丸っこくて重い。それを全部ゆだねて、彼の肩に頭をもたせかけてくる。着物には襟垢がついている。着て来たままのものだ。が髪の毛は、さらさらしている。そして毎晩....
風俗時評」より 著者:豊島与志雄
で表現されるには、かかる風習の裏付けがあって始めて可能であろう。現在でも、衣類の襟垢の有無は、人柄を判断する一つの鍵とされることがある。庶民の家婦の仕事のうちで....
地上」より 著者:島田清次郎
着と一緒に垂れ下っている。脱ぎすてたままの着物が幾重ねも、赤い裏を裏がえしにし、襟垢や白粉のついた黒い生繻子の襟がべと/\に光ったまま棚に押しこめてある。蔽を被....