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「襟懐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

襟懐の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
私の父と母」より 著者:有島武郎
狭な所があった。これは境遇と性質とから来ているので、晩年にはおいおい練れて、広い襟懐《きんかい》を示すようになった。ことにおもしろがったり喜んだりする時には、私....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
こに安んじてはいられぬのじゃ、文天祥《ぶんてんしょう》が天命に安んずるこそ丈夫の襟懐《きんかい》ではあるが、盗人の屋尻《やじり》を切るような真似をせにゃならぬの....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
のであった。掉尾《とうび》の大功を惜しげもなく割愛して、後進に花を持たせた先輩の襟懐《きんかい》、己を空しうして官庁の威信を添えた国士の態度、床しくもまた慕わし....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
の深きものである。 吾れ人の家の夏は、青簾かけそめて初めて趣致を添え、涼意自ら襟懐を滌ぐばかり。然れば五月の夜々の縁日には、早くも青簾売る店の一つならず、二つ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
は旧同僚でもあった辺から、一個人としての打解けた談をした。父ももとよりそこは同じ襟懐だから、長い時間膝を交えて談し合った。ここらはちょっと面白い交際であったのだ....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
易々と荒濤を凌いで行った。彼はいつでも平和であった。晩年になるといよいよ益益彼の襟懐は穏かになった。参議兼海軍卿。こんなに高い栄誉の位置に一度は登ったこともある....
良夜」より 著者:饗庭篁村
「御注意有り難し」と述べて左右に別れたれど予はなお橋の上を去りやらず。この応答に襟懐俗了せしを憾みたり。巡査はまた一かえりして予が未だ涼み居るを瞥視して過ぎたり....