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襷
「襷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
襷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
け》に黒紬《くろつむぎ》の袷《あわせ》を重ねて、同じ紬の紋付の羽織の下に細い革の
襷《たすき》をかけた。差料《さしりょう》は長谷部則長《はせべのりなが》の刀に来国....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
せっせと硝子戸を磨いていた。がたがた言うのはこの音だった。袖無《そでな》しの上へ
襷《たすき》をかけた伯母はバケツの雑巾《ぞうきん》を絞りながら、多少僕にからかう....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
云う年上の女中だった。松は濡れ手を下げたなり、銅壺《どうこ》の見える台所の口に、
襷《たすき》がけの姿を現していた。
「どこだい?」
「どちらでございますか、――....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
一 白
襷隊
明治三十七年十一月二十六日の未明だった。第×師団第×聯隊の白
襷隊《しろ....
「或る女」より 著者:有島武郎
案内を求める男の声がした。それを聞くと貞世は姉から離れて駆け出して行った。愛子が
襷《たすき》をはずしながら台所から出て来た時分には、貞世はもう一枚の名刺を持って....
「星座」より 著者:有島武郎
、すなおな気持で立ち上って迎いに出ようとしたが、部屋の出口の柱に、母とおぬいとの
襷がかけてあるのを見ると、派手な色合いの自分の
襷を素早くはずして袂の中にしまいこ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
口の急込に真赤になりながら、直ぐに台所から居間を突切って、取次ぎに出る手廻しの、
襷を外すのが膚を脱ぐような身悶えで、 「真砂町の、」 「や、先生か。」 真砂町....
「海異記」より 著者:泉鏡花
ぶ鴎よりなお高く、見果てぬ雲に隠るるので。 留守はただ磯吹く風に藻屑の匂いの、
襷かけたる腕に染むが、浜百合の薫より、空燻より、女房には一際床しく、小児を抱いた....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
それはズット昔からある水売りで、売子は白地の浴衣、水玉の藍模様かなんかで、十字の
襷掛け、荷の軒には風鈴が吊ってあって、チリン/\の間に「ひやっこい/\」という威....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
現下の博多節に、うっかり気を取られて、釜前の湯気に朦として立っていた。……浅葱の
襷、白い腕を、部厚な釜の蓋にちょっと載せたが、丸髷をがっくりさした、色の白い、歯....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
らない。その腸を二升瓶に貯える、生葱を刻んで捏ね、七色唐辛子を掻交ぜ、掻交ぜ、片
襷で練上げた、東海の鯤鯨をも吸寄すべき、恐るべき、どろどろの膏薬の、おはぐろ溝へ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
けた。 その上、まだある。申合わせて三人とも、青と白と綯交ぜの糸の、あたかも片
襷のごときものを、紋附の胸へ顕著に帯した。 いずれも若い、三十|許少に前後。気....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
食べながら通ると、ニ三人葉を摘んでいた、田舎の婦人があって、養子を見ると、慌てて
襷をはずして、お辞儀をしたがね、そこが養子の実家だった。 地続きの桃畠へ入ると....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ざいますから、縁談の口は諸方から雨の降るようにかかりましたが、俚諺にも帯に短かし
襷に長しとやら、なかなか思う壺にはまったのがないのでございました。 すると或る....
「活人形」より 著者:泉鏡花
入り来ることもやあらむと、内外に心を配りいる。 勝手を働く女房が、用事|了うて
襷を外し、前垂にて手を拭き拭き、得衛の前へとんと坐り、「お前|様どうなさる気だえ....