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要る
「要る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
要るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
燻った明を切って玉のごとく、古本の上に異彩を放った銀貨があった。 同時に、 「
要るものなら買って置け。」 と※のある、凜とした声がかかった。 主税は思わず....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
この室を五十三に割って双六の目に合せて、一人ずつ身体を進めるが可かろう。……賽が
要る、持って来い。 (侍女六七、うつむいてともに微笑す)――どうした。 侍女六 ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
(と異口同音。) 晃 お百合|行こう。――(そのいそいそ見繕いするを見て)支度が
要るか、跣足で来い。茨の路は負って通る。(と手を引く。) お百合その袖に庇われて....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
弁当をしまいかけて、……親方の手前もある、客に電報が来た様子では、また和女の手も
要るだろう、余り遅くならないうちにと、懇に言うと、 (はい、はい。) と柔順に....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、 「女房さんに、悟られると、……だと悟られると、これから逢うのに、一々、勘定が
要るじゃありませんか。おまいりだわ、お稽古だわッて内証で逢うのに出憎いわ。 は....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
漕ぐじゃねえ。底蛇と言うて、川に居る蛇が船に乗ッけて底を渡るだもの。船頭なんか、
要るものかい、ははん。」 と高慢な笑い方で、 「船からよ、白い手で招くだね。黒....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
…不首尾重って途絶えているけれど、中洲より洲崎の遊女が大切なんだ。しかし、心配は
要るまいと思う。荷高の偵察によれば――不思議な日、不思議な場合、得も知れない悪臭....
「橋」より 著者:池谷信三郎
彼が現れた。 ――モーニングが欲しいんだが。 ――はあ、お誂えで? ――今晩ぜひ
要るのだが。 ――それは、…… 困った、といった顔つきで店員が彼の身長をメート....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
です。わたしは創作をします。そうです、まだ実行にまでは行きませんが、私には太陽が
要るのです。そうして、その日光を得られれば、私には冷たい大理石に生命をあたえ、響....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
いました。最初私は馬に乗るのが厭でございましたが、良人から『女子でもそれ位の事は
要る』と言われ、それから教えてもらいました。実地に行って見ると馬は至って穏和しい....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
神は一切を試練する、そして資格のある者にのみ智慧を授ける。前進の前には常に準備が
要る。これは不変の鉄則である。資格が備わりてからの進歩である。忍耐が大切な所以で....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
彼はほろ酔い機嫌で町なかを歩いていると、垣根の下の日当りに王※の前では何の遠慮が
要るものか、正直のところ阿Qが坐ったのは、つまり彼を持上げ奉ったのだ。 阿Qは....
「おびとき」より 著者:犬田卯
一口ずつでもいいから食わなけりゃ、餓鬼奴らも可哀そうだわ。お父は酒せえありゃ何も
要るめえ。」 お島は折詰を再び新聞紙へ包んで戸棚の中へしまいこんでしまった。そ....
「米」より 著者:犬田卯
――」と浩平は今は折れるしかなかった。「それで……何叺あるんだか。」 「君は何叺
要るんだか、それによって俺の方はいくらでも都合する。」 「俺は、まア、差しあたり....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
と、「金だな」と妻は直感したそうである。翌くる日浩さんはまたやって来た。いくら位
要るのだと訊ねると、彼は、年の暮で、どうも……と濁している。結局半年分、いや十円....