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覆没
「覆没〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
覆没の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藤棚の陰から」より 著者:寺田寅彦
おかれた三尾のうちで二つは死んで一つは生き残るから妙である。 水雷艇「友鶴」の
覆没の悲惨事を思い出した。 あれにもやはり人間の科学知識の欠乏が原因の一つにな....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
袋の鼠《ねずみ》の如くに環攻され、総大将たる小山田筑前は悪戦して死し、全軍殆んど
覆没し、陣代の高森|上野《こうつけ》は婿《むこ》舅《しゅうと》の好《よし》みを以....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
。夫が組織的拠り処を全く有たず、殆んど単に著名な一同人雑誌として同人雑誌群の内に
覆没するような私的一グループの資格に止まっているのは、当然だと云わねばなるまい。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いうものがあまりに弱い、少なくとも木下藤吉郎を家来に持っていた信長、味方の全軍が
覆没しても驚かず、桶狭間《おけはざま》で泰然としていた信長、たとえ一|目《もく》....
「颱風雑俎」より 著者:寺田寅彦
しないかと思われる。 弘安四年に日本に襲来した蒙古の軍船が折からの颱風のために
覆没してそのために国難を免れたのはあまりに有名な話である。日本武尊東征の途中の遭....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
方のみに受けるので、船体は甚しく傾斜する。私は始めてのことだから、こういう時には
覆没を怖れた。風が悪くて港に長く止まる際には、港へ上がって風呂をたててもらって、....
「東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
して、狭隘と峻険とは共にしばしば旅客の忍ばねばならぬ苦痛であったろう。また陸には
覆没の憂いがないにしても、旅舎の設備の不完全は、海上の旅行者の嘗《な》めずにすむ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
して諸国王らが唖然《あぜん》たるまに、すべての王国をまき込み、武力の失墜と戦役の
覆没とを導いた。
超人間的必然性の印せられたるその事変のうちには、人間の与える....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
除去しながら、還元の道をたどってゆく。
人間の上に吹きすさむ風のために一社会が
覆没することは、しばしば見らるるところである。民衆や帝国の難破は史上に数多ある。....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
受け海外の市場に輸出し大に儲けんとして香港に送りしに、陸揚の際に銭を積みたる端船
覆没してかえって大に損したることあり。その後カションはいかなる病気に罹りけん、盲....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「正統記」に九月十日頃とあるから、いまでいう颱風であったのだろう。 一瞬のまに
覆没してしまったのやら、また助かった船にしても、みな大破してちりぢりにどこかへ吹....
「日本の民衆と「日本的なるもの」」より 著者:戸坂潤
することにあると私は考える。そうしなければ主体や自我の探究は、再び個人主義の内に
覆没する他はあるまい。で、一旦こういう風にするならば、小市民は遂に小市民的な自我....