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覆輪
「覆輪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
覆輪の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「名君忠之」より 著者:夢野久作
ばかりじゃからのう。乗りに行こうて……のう。自宅の鹿毛と青にその方の好きなあの金
覆輪の鞍置いて飛ばすれば、続く追っ手は当藩には居らぬ筈じゃ。明後日の今頃は三太郎....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
守る佐久間右衛門尉が五千騎に向って、浅木辺より進軍する武田勢三千、その真先に、白
覆輪の鞍置いた月毛の馬を躍らし、卯の花|縅の鎧に錆色の星冑|鍬形打ったのを着け、....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
いた気がした。ある日「富士が見えますよ」と、隣の机から呼びかけられて、西日さす銀
覆輪の雲間から、この山を見た、それが今まで、雨や、どんよりした花曇りに妨げられて....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
約百万両。閻浮檀金十斤也。緞子、縮緬、綾、錦、牡丹、芍薬、菊の花、黄金色の董、銀
覆輪の、月草、露草。 侍女一 もしもし、唯今のそれは、あの、残らず、そのお娘御の....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
りに目が馴れたのか、空は星の上に星が重って、底なく晴れている――どこの峰にも銀の
覆輪はかからぬが、自から月の出の光が山の膚を透すかして、巌の欠めも、路の石も、褐....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
に、山も峰も映りそう。遠い樹立は花かと散り、頬に影さす緑の葉は、一枚ごとに黄金の
覆輪をかけたる色して、草の露と相照らす。……沼は、と見れば、ここからは一面の琵琶....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
地《すなごじ》、斑紋にいたっては、星出斑《ほしでふ》、吹っかけ斑《ふ》、墨縞、紺
覆輪《こんぷくりん》と、きりがない。 その広縁の、縮緬叩《ちりめんだたき》の沓....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
く。また長崎から取り寄せた伽羅《きゃら》で櫛を梳《す》かせ、その梁《みね》に銀の
覆輪《ふくりん》をかけて「源内櫛《げんないぐし》」という名で売出したのが大当りに....
「赤坂城の謀略」より 著者:国枝史郎
鳩が啼き、天王寺の塔の甍には、陽が銀箔のようにあたっていた。 白鞍置いた馬、白
覆輪の太刀、それに鎧一領を副え、徒者数人に曳き持たせ、正成は天王寺へ参詣し、大般....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
扇をかざし、敵をまねいて射よという。やがて源氏の武者一騎、萌葱おどしの鎧きて、金
覆輪の鞍置いたる黒駒にまたがり、浪打ちぎわより乗入ったり。 与五郎 おお、それぞ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
も打出しもので、中はつぎのないくりぬきを、表の金質に好配して、黄金また銀の薄金を
覆輪に取って、しっくりと張るのだが、朱肉入、驕った印章入、宝玉の手奩にも、また巻....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
――と、そう考えていたのである。 真っ赤な日輪は今、渋谷の山の端に沈みかけて、
覆輪をとった夕雲が、むらむらと宵の空をつくりかけていた。地上はもう夕闇だった。 ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
般若経の転読がながれていた。この日、正成は先ごろの戦勝のお礼に、二頭の神馬と、白
覆輪の太刀などを寺中へ納めていたのである。 「兄上、いつでも」 「正季か。みな揃....